12年間にわたってSKE48の中心メンバーとして活躍してきた松井珠理奈さんが、昨年ついに卒業を発表、2月3日に卒業記念シングル『恋落ちフラグ』をリリースする。今回そんな珠理奈さんに特別インタビュー。卒業シングルについて、卒業発表直後に始まったコロナ自粛期間から現在までの思い、そして「やりたいことがいっぱい」という未来についてたっぷり語ってもらった。1回目は卒業シングルの詳細や込めた思いについて。
--卒業シングルの表題曲『恋落ちフラグ』は、なんとSKE48メンバー68人全員での歌唱となります。ミュージックビデオは壮観な感じですね。
「SKE48の活動を12年間やってきて、ここまで長くやってこられたのは、一人じゃなかったからということが本当に大きくて、周りにメンバーがいつも近くにいてくれて、楽しいことも辛いことも全部分かち合ってきて、みんながいるからSKE48を盛り上げたいという気持ちがありました。ファンの方たちに感謝の気持ちを伝えたいというのはもちろんなんですけど、近くにいてくれたメンバーたちにも“ありがとう”という気持ちを伝えたかったので、最後は全員で一緒に歌いたいなと思いました。」
--68人もいれば、このMV撮影でほぼ初めて接するというメンバーもいたかもしれませんね。
「この撮影の日に『初めてMV撮影をしました』という新しい子もいました。チームが違うと一緒に仕事をする機会が少ないメンバーもいて、でもこうして最後にミュージックビデオ撮影を一緒にして、映像に残すことができたのは嬉しいです」
--逆に若手の子にとっては、珠理奈さんと一緒に仕事をする最初で最後のチャンスをもらえて嬉しいでしょうね。
「そう思ってくれてたら嬉しいですけど、これから入ってくる子たちとはもうメンバーとして一緒にSKE48の活動をできないのかと思うと寂しいですね」
--今の新人メンバーは最後の“珠理奈チルドレン”ですね。これから入ってくる子たちは“珠理奈を知らない世代”ということになって。
「今まで私は新しい子が入ってくると必ずレッスンを見に行って、『こういうふうに踊るとカッコ良く見えるよ!』とか『表情をこういうふうに作ったほうが見ている人に伝わりやすいよ!』とかいろいろ直接伝えてきたので、それもなくなるのかと思うとせつない気持ちになりました。今回のシングルのカップリングではプロデュースをやらせてもらった曲もあります。卒業後もみんなを見てきたからこそわかかるメンバーの魅力をどんどん引き出して、こういった形でSKE48に関わっていけたら嬉しいです」
--作詞やダンスの振り付けなどプロデュースワークをしていきたいという話は、昨年2月の卒業発表の頃にもされていましたが、早くもそれが形になりましたね!
「本当ですね! 今回はSKE48のメンバーということで、今までずっと見てきたメンバーということもあるし、本当に今までSKE48を広めたいと思ってやってきたことの延長線上という感じだったので、お仕事って感じではなく楽しくできました」
--そういう志向はずっと以前からあったんですね?
「ありました。秋元(康)先生に『SKE48としてこういうことがやりたいんです』とかいろいろ相談すると、『珠理奈は本当にいつもプロデューサー目線だな』という感じで言われて……。秋元先生にそんなふうに言われたということは見込みがあるのかなと受け取って(笑)、自分でもやってみたいなという気持ちになりました!」
--卒業後はプロデュース活動も活発化しそう?
「SKE48とかAKB48の活動でいろんなことを経験させてもらったので、今後は、自分が表に出るだけではなく、夢を追いかけてる方たちを輝かせる仕事もしたいなと思っています」
--デビューから12年、周りを俯瞰で見渡すような視点になってきているのかもしれませんね。それにしても12年間って改めてすごい。いきなりセンターに抜擢されたAKB48の『大声ダイヤモンド』のときの可憐な小学生が今や23歳。
「あのとき、私はSKE48として加入したので、AKB48の選抜に選ばれて『なんでなんだろう?』『いいのかな?』という気持ちがすごくありましたね」
--「前に出られて嬉しい」というより、とまどいのほうが大きかった?
「そうですね。曲が発売されて、今までAKB48を応援してくださったファンの方からすると、やっぱり『えーっ、なんで?』という方もいらっしゃったので、そういう声を聞いて落ち込んじゃったりとか、小学生ながら『寂しいな』という思いをしていました。それに負けずに、『そういう人たちもいつかは好きにさせたい!』という気持ちが原動力になってここまでやってこられたので、そのような経験を(ニューシングルの歌唱ユニットの)Black Pearlの詞で書いたりしました」
--Black Pearlの話が出たところで……。ニューシングル内の一曲『Change Your World』を歌う9人組ユニットになりますが、メンバーの人選は珠理奈さん自ら?
「スタッフさんと話し合いながら、未来を感じられるような、SKE48のこれからが楽しみと思えるような作品にしたいという思いが出ていて、その中で期待するメンバーを、ということで決めさせていただきました。魅力的な子はもっといっぱいいるのですが、でも一人ずつフィーチャーするにはこれくらいの数のメンバーがいいと話が出たので、今回のメンバーになりました。悩みに悩んで選ばせていただきました」
--次世代のエースやそのさらにその先のSKE48を担う存在として期待できる人など多彩なメンバー構成になっていますね。
「ファンの方が見えない部分の努力も私は知っているので、『頑張っていると誰かが見てるんだよ』というメッセージも送りたかったんです。ですが、この曲の歌詞はメンバー全員に届けたいです。そして、これから困難に立ち向かっていく方や、乗り越えたい壁がある方へのメッセージソングになったらいいなと思っています」
--一方表題曲の『恋落ちフラグ』についてですが、とても明るい楽曲になっています。
「『恋落ちフラグ』はいい意味で卒業ソングっぽくない楽曲です。今までのいろんなメンバーの卒業シングルって、“前を向いて走っていこう”とかせつない感じだったりだとかが多かったので、自分にもそういう感じの曲が来るのかなと思っていたのですが、曲を聴いたときは本当にびっくりしてました。ですが、最後はSKE48らしく、自分らしく笑顔で終われるというのがすごく嬉しいなと思いました」
--この曲のミュージックビデオでは、これまでのいろんな衣装が出てきて楽しいですね。
「自分の中で思い入れがある衣装を着ているので、そういうところにも注目してもらいたいです。メンバー68人を6チームに分けて、それぞれの個性に合ったダンスをしたんですよ。私たちのチームはダンスをバリバリ踊れるメンバーで踊っているので、“ダンスといば『Escape』だよね”ということでその衣装を着て、また元気いっぱいのメンバーのチームは『パレオはエメラルド』の衣装を着たり、懐かしい衣装がたくさん出てくるので楽しんでいただきたいです」
--この曲のグループ分けを見てると、SKE48って改めてメンバーの個性が本当にいろいろだと思いますね。
「ダンスでいろんなカラーを見せるというのはなかなかないですよね。『恋落ちフラグ』に関しては一曲のミュージックビデオを見るだけで、メンバーのいろんな魅力が見られるので、得した気持ちになれるMVじゃないかなと思います。“SKE48ってこんなに個性のある子たちがいたんだ”と再発見できるようなところがあると思いますし、今、ファンのみなさんに会える機会が減ってしまいましたが、たくさんパワーを届けたいという思いがあるので、こういう明るい曲になったのはすごくよかったなと思います」
--卒業曲らしさみたいな部分はカップリングの『Memories ~いつの日か会えるまで~』にて?
「そうです。この曲も自分で作詞させていただいてます」
--今回はシングルで2曲作詞しているんですね?
「初めてです!表題曲のカップリングって初めてだし、しかも自分が作詞した曲をメンバーが歌うというのも初めてです」
--今回作詞にあたって心掛けたことは?
「メンバーにもいろんな声を聞きました。『Change Your World』の作詞のためとは言わずに、『今後のSKE48をどうしていきたいか』とか『今まで悔しかったことってある?』とか、いろんなヒアリングをしたんです。そこでもらった言葉とか意見を参考にイメージが湧き上がってきた中で書いたので、みんなから『感情を込めやすい』と言ってもらえました。今回ダンスの振付も私が作らせていただいたんですけど、そのダンスも含めて『感情を込めやすいです』と言ってくれました!」
--メンバーだからこそ書ける歌詞ですね。
「メンバーへのメッセージということもあるんですけど、今ってSNSがさかんになっているから、見たくないもの、聞きたくないことが入ってくることもあるじゃないですか。それに悩まされることもあると思うので、そういう方へのメッセージにもなっていればいいと思って、『Change Your World』の歌詞を書きました。『Memories ~いつの日か会えるまで~』は、ファンの方へのメッセージというか、感謝の気持ちを詰め込んだんですけど、Aメロの歌詞で『無邪気に登ったあの階段』というのは『大声ダイヤモンド』のミュージックビデオで、階段を駆け上がっている小6の私のことを歌っています。SKE48のイメージカラーがオレンジなので、“オレンジ”という言葉を入れてみたりだとか、本当にSKE48を応援してくれた方、松井珠理奈を応援してくれた方なら、『ああ、これはあのことか!』と思い出しつつ聴いてもらえる曲になっていますね」
--SKE48ファン以外の人やファン歴が浅い人には気づけない部分もあったり?
「これは幅広い人たちが共感しやすい曲というよりは、自分の思い出、ファンの方たちと作り上げてきた歴史を振り返るという内容になっています。この曲のミュージックビデオでは、今までのMVがプロジェクションマッピングで壁や私の衣装に映し出されていて、私のファンじゃない方でも、『あ、俺この曲のときにファンになったな』と思えたり、メンバー自身も『私この曲のときに加入したんだ』と言ってくれたり、そういうふうに自分とSKE48との思い出を振り返りながら聴いてもらえればと思います」
--ミュージックビデオを撮っているとき、そのMVは珠理奈さんから見えていたんですか?
「見えました。『ああ、この後の曲からはもう自分はいないんだ』と思ったら、『卒業するんだ』という実感が湧いてきました。『恋落ちフラグ』のMVの撮影をしているときは実感が湧かなかったんですよ。本当に楽しくて!『あ、このまま次の作品も続いていくんじゃないかな』という気持ちだったんです。人生の半分以上はSKE48にいたので、ここにいることが日常でした。でもソロのMVの撮影をしているときは、『あ、私SKE48を卒業するんだ』と実感がめちゃくちゃ湧いた瞬間でした。一人になるとやっぱり寂しくなりましたね」
(卒業後のこと、未来についてたっぷり語ったインタビュー2に続く)
〈プロフィール〉
松井珠理奈(まつい・じゅりな)
1997年3月8日生まれ、愛知県出身。2008年、「SKE48オープニングメンバーオーディション」に合格。同年10月に劇場デビューを果たした。同時に、AKB48のシングル『大声ダイヤモンド』でいきなり選抜入り、センターに抜擢、単独でジャケット写真に登場し、大きな話題となった。2009年、SKE48の1stシングル『強き者よ』をリリース。以降、多くの曲でセンターポジションを務めるなど、中心メンバーとしてグループを牽引してきた。同時にAKB48としての活動も並行、多くの曲で選抜入りを果たす。2018年に行われた「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」では見事1位に。そして2020年2月、グループからの卒業を発表した。
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