本田望結、「本田望結を封印すべき役」『愛されなくても別に』で見せた新境地と、監督との知られざる絆

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女優でフィギュアスケーターの本田望結が5日、都内で行われた映画『愛されなくても別に』の公開記念舞台挨拶に登壇。これまでの快活なイメージを覆す役柄への挑戦と、その裏にあった知られざる葛藤、そして井樫彩監督との深い絆を明かした。

本作は、毒親のもとで過酷な日々を送る女子大生・宮田陽彩(南沙良)と、同級生の江永雅(馬場ふみか)の出会いを描く物語。本田さんは、二人の大学の同級生で、過干渉な母親に悩む・御手洗宝石役を演じた。

子役時代から数々の作品に出演し、明るく元気なイメージで知られる本田さん。しかし、今回演じた宝石(あくあ)は、そのイメージとはかけ離れた、心に影を落とす役柄だ。本田さん自身も「台本を読んだときは、あまりみなさんと仲良くなれないのかなって思いました。ずっと役として距離感というか壁があるので」と、役作りの上で孤独を感じていたことを吐露する。

そもそも、なぜ彼女にこの役がオファーされたのか。本田さんは、キャスティングの裏話を明かした。井樫監督は「あえて、役柄とは境遇が真逆の家族愛に恵まれた女優にこそ演じてほしい」という言葉をかけられたことで、「私がやらせていただく意義があるのかな」と出演を決意したという。監督も「子役からやられてるっていうこともあって、すごくしっかりしてて、育ちがいい。それと『過干渉な親』との組み合わせがすごくいいんじゃないかなって」とその狙いを語った。

しかし、その挑戦は決して容易なものではなかった。「これほど本田望結を封印すべき役は初めてでしたね」と断言する本田さんは、「素直に言いますけど、私生活から何のヒントも得られない。本田望結として経験したことを活かせるのは女優として大事だと思うんですけど、そう思える部分がなくて」と、これまでにない役作りの難しさに直面したという。

出口の見えない役作りのトンネルの中、彼女を支えたのは井樫監督だった。本田さんは撮影現場での知られざるエピソードを打ち明けた。「本当に監督に助けてもらって…。宝石の顔しか映ってないシーンですけど、実は監督の手を握りながらやってるシーンがあって。監督の体温とか、エネルギーをそのまま受け取って演じるシーンがありました。私がずっと離さないもんだから、監督も多分戸惑ったと思うんですけど」と吐露した。役と一体化しようともがく彼女の苦悩と、それに応えようとする監督との深い信頼関係から生まれた「新しい本田望結」を、監督は「陽彩と雅とはまた違ったキーになる人物として、すごく印象的になったんじゃないかな」と高く評価した。これまで見せたことのない表情で、観る者の心を揺さぶる本田さんの演技は、間違いなく本作の見どころの一つだ。

シリアスな役柄とは裏腹に、舞台挨拶では共演者とのユーモラスなやりとりで会場を沸かせる場面も。共演の基俊介さんから「馬場さんに『フッ』って吹かれた瞬間があって」というエピソードが飛び出すと、本田さんはすかさず「私もその被害受けてますね!」と声を上げた。「私もめっちゃ『フッ』ってやられて。『え、なんか変なことしちゃったかな』って思ってたんですけど」と、緊張感あふれる撮影の合間に見せた、お茶目な素顔を明かした。

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©武田綾乃 / 講談社 ©2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

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