【松田るかインタビュー】石川を舞台に和装でタップダンスに挑戦する若女将を演じる「今 こそエンタメの力を信じようと…」 映画『レディ加賀』公開

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ライフネット生命のCMで博多華丸・大吉さんと共演し注目されている松田るかさん。女優として活躍する彼女の最新出演映画『レディ加賀』が2月2日より公開(石川県先行)、9日より全国公開される。主演の小芝風花さんを筆頭に温泉の新米女将たちが、加賀の町おこしのために和服にタップシューズ姿でタップダンスに挑む姿を描く斬新な作品だ。松田さん自身初体験というタップダンスや役柄への取り組みとともに、石川県を舞台にした本作への想いを語った。

--松田さんはタップダンスのご経験は?

「ないです。今回が初めてです」

--最初タップに挑戦するという話を聞いたときの感想はいかがでしたか?

「最初はどこまで仕上げられるんだろうという不安がよぎりました。私とふうちゃん(小芝風花)はタップを昔からやってたという役柄なので、それだけ説得力が画に出ないといけないなというところで……。ダンスは昔からずっとやっていたんですけど、タップを実際にやってみると勝手が違いました。タップを踏むときに、どうしても踏みに行きたくなるんですけど、力を抜いたときの反動で音が鳴る感じなので、力を抜くのがポイントというところが、これまでやってきたダンスとは全然違うんだなと一番感じたところです」

--クランクイン以前からタップダンスの練習はみっちりやっていたようですね。

「そうですね。結構前から、(タップダンサーの)HIDEBOHさんの教室に通う形で、当時スケジュールを工面して行けるだけ行っていました」

--小芝さんもタップは初体験?

「そうだと思います。私たちよりもずっと前、撮影の9ヶ月前からタップの練習をしていたそうです。ふうちゃんが演じる由香はタップでプロを目指していたという役だから、よりプレッシャーや責任感は感じていたんじゃないかなと思います」

--松田さん演じるあゆみは、由香の幼馴染で、小学生の頃から一緒にタップダンスをしていたものの、家業の温泉旅館を若女将として切り盛りしています。あゆみは、女将業をさらに学ぶためにベテラン女将が指導するアカデミーに入り修行しますが、そこでのちのタップ仲間たちと出会います。

「メンバーの中ではあゆみだけが現役の若女将で、家庭の事情で旅館を継がなければならなくなって参加します」

--両親が亡くなって、若女将として旅館を引っ張らなければならなかったあゆみはタップを続けたい気持ちはあったけど、家業に専念せざるを得ない。

「あゆみは由香のことをどこか羨ましかったと思います。夢に向かって自分のやりたいことに取り組める由香と、やらなきゃいけないことがあって、一歩踏み出せないあゆみ。でもそれを受け入れているのも自分だし。一歩踏み出している由香に対して羨ましさや葛藤があるんだろうなと感じました」

--あゆみを演じていて共感はできましたか?

「うーん、どちらかというと私は一歩踏み出した側なので。家族を沖縄に置いて出てきていますし……」

--松田さんは女優デビューにあたっては、沖縄でスカウトされ、その後地元で活動したのちに18歳のときに上京されたんですよね。

「でも怖い気持ちはわかりますよね。初めての挑戦って、怖い気持ちやどうなるかわからないという恐怖はあるので……。でもやっぱり私は“やらない後悔より、やって後悔したい”派なので、もし、あゆみがここにいたら、“タップで一緒に東京に行こう”と言うと思います(笑)」

--ご自身の上京のときも迷いはなかった?

「なかったですね、“とりあえず行って5年だけやって、売れなかったら帰ってこよう”くらいの気持ちで出てきたので(笑)。でも、あゆみのやさしさはわかりますし、いつだって由香のために頑張っているし、“あれこれ大変だよ”といいながら、若女将として旅館の経営を守っていったり……。引っ込み思案というか保守的なのがあゆみのいいところなんだなと思います。今あるものを大切に守っていくという」

--あゆみを演じるにあたって心掛けたことは?

「本番ギリギリまで雑賀(俊朗)監督とお話ししていました。タップだけにとらわれずに、ちゃんと台本の部分でもしっかり話し込んで役を作っていきたいと思っていました」

--タップ仲間となる新米女将たちは多彩なキャラクター揃い。撮影現場も楽しかったのでは?

「撮影期間は1ヶ月くらい現地に行きっぱなしだったので、みんなで合宿みたいな感じがありました。それぞれ部屋にお風呂はついているものの、みんな大浴場に集まってきて、今日あったことを話したり、たわいもない会話をしながらそれぞれの部屋に戻るという感じでした」

--タップ初心者がほとんどというメンバーたちが、町おこしの一環のイベント出演に向けて悪戦苦闘しながらタップの練習に挑み、物語のクライマックスでは、メンバーによるタップのステージのシーンもあります。かなり見応えのあるかっこいいステージですが、練習を重ねる中で手応えのようなものは感じてきましたか?

「最初できなかったものが後半できるようになったり、そういう楽しさはありました。できなかったことを一個一個クリアしていく感覚で!」

--ステージではメンバー間の呼吸も大事だったのかも。

「そうですね。踏めるだけでいいというわけではなくて、手の角度とか顔の向きとか細かく合わせようと、ふうちゃんが一人で撮影している日に宴会場をお借りしてみんなで集まって稽古しました。“もうちょっと手を挙げたほうがいいかも”とか、客観的に見てもらって、ギリギリまでみんなで調整していました」

--出来上がった作品を見ていかがでしたか?

「タップのシーンが素晴らしいのはもちろん、加賀の自然がいいなと思って。由香とあゆみが歩いている“あやとりはし”の引きの画だったり落ち着ける場所だなというのがたっぷり感じられて、加賀の自然や空気を感じられる画になってるなと感じました」

--ご自身は加賀は初めて?

「はい、初めてです」

--お気に入りの場所がみつかりましたか?

「車がなかったのであんまり広範囲の移動はできなかったんですけど、ちょうど撮影期間中に地元のお祭り『菖蒲湯祭り』があったのでそれを見に行ったりして楽しめました」

--今は能登半島の震災で石川県が大変な状況ですね。

「そうですね。聞くところによると、ロケでお世話になった加賀はそこまで大きな被害はないそうですが、こういうときこそエンタメが何かの力になれることを信じて、あんまり控えるよりも、みなさんに観ていただいて、それで加賀、石川県に全国からいろんな方に行ってもらえたら、復興が早まったり、みんな少しずつ元気を取り戻せるのではないかなと、そういうエンタメの力を信じようと思いました」

--石川を舞台に、みんなで力を合わせて一つのことを成し遂げるという内容は、観ていて勇気とパワーをもらえます。

「そうですね。地元の風景を見て“あ、知ってる、ここ行ったことある”と思うだけでもすごく楽しめると思うので」

--松田さんは女優活動を始められて約10年ですが、“ここが転機だった、これをきっかけに女優として自信がついた”という出来事はありますか?

「うーん、シンデレラストーリー的な感覚は一切なく、常に来たものに全力、来たものに全力で、後ろを振り返ったときに、“ああ、頑張れてたなと……”と気づくという感じですね。“この作品で一気にバーンとい行けた”という感覚はないです。逆にそうなると、私怖くなっちゃうと思うんですよ。ここで鼻を伸ばしたら絶対くじかれると。足元すくわれるぞとか、逆に怖くなっちゃうので」

--“演技職人”というか、来たものに対して自分の最大限で応えていくという。

「そうですね。それが何かにつながっていけばいいなと。未来のことを考えながら、後ろを振り返ったら今まで頑張ってきた軌跡が残っていて……と、そんな感覚ですね」

--では、これまでで大きな壁にぶつかったような経験は?

「それは今もぶつかり続けている気がします」

--作品の度に?

「作品ごとにでもですし、自分が今置かれている状況だったりだとか。だって私と同い年で私より可愛くて、私より売れている人がたくさんいて、“なんでだろう”と悔しく思う日もあるし、“いや、でもでも私頑張れてるよ”という日もあります。もらったものが難しくて“これできないかも”と思って、それでもできて、それを公開のときに見たら、“まだあれもできた、これもできた”と後悔したり……、そんなことばかりです。私“できた!”と思ったら、それは女優人生最後の日だと思います」

--常に危機感というか問題意識を持っていて。

「それが次へのモチベーションにもつながっている気がしますし、本当に満足したら、パッと全部手を引くと思います。でもまだ全然満足できてないので、まだまだ続けていくつもりなんですけど、“よっしゃ、やった!”と思えたら、そのときは達成感はあれど、振り返ってみると、“これ、もうちょっと考えられたな……”とかそういうことばっかりですね」

--4月からは『ハネムーン・イン・ベガス』でミュージカルに挑戦。松田さんにとって2作目のミュージカルはヒロイン役ということで。

「はい。まずは足を引っ張らないというのを前提に、あわよくばみなさんをリードとまではいかないんですけど、“あ、そういう考えもあるんだね、そういうやり方もあるんだね”と思ってもらえるくらいにはなりたいなと思います」

--ミュージカルだからもちろん歌も?

「はい、ソロ曲もあって……。今個人レッスンに頑張っているところです」

--さっきもお話にあったように、ここでも自分の中で課題や問題意識を持って?

「まだまだですけど、それがいい意味でモチベーションに繋がっていますし、自分を高める理由の一つになっているので、別にマイナス思考すぎることもないのかなって。問題意識があることは悪いことじゃないと思います」

--最後に改めて『レディ加賀』についてメッセージをお願いします。

「タップとお着物の融合、和とタップダンスの融合というのが、今までになく新しいなと思ったので、そういった和洋折衷の面白さも楽しんでいただけますし、加賀の自然や温泉郷の素晴らしさというものを作品のいろんな場面から感じられます。また、挫折から立ち上がる姿、目の前に困難があって、けど頑張る。それは由香たちもそうだし、加賀温泉郷もそうやっていろんな困難を乗り越えながら今日までやってきてるので、そこからも勇気をもらえる作品だと思っております。今だからこそ石川県が舞台の映画を見ていただいて、皆様にパワーを与え……、与えると言ったらおこがましいですけど、再びパワーを出してもらえることの手助けになればいいなと思います」

〈プロフィール〉
松田るか
1995年10月30日生まれ、沖縄県出身。沖縄でスカウトされたことをきっかけに地元で芸能活動を開始。高校卒業後上京。以降、仮面ライダーエグゼイド』にヒロインの仮野明日那/ポッピーピポパポ役でレギュラー出演し注目され、ドラマ&映画『賭けグルイ』、『BACK STREET GIRLS -ゴクドルズ-』、ドラマ『だから私は推しました』、映画『あしやのきゅうしょく』(※主演)などに出演。4月9日から東京建物Brillia Hallなどで上演される『ブロードウェイミュージカル「ハネムーン・イン・ベガス」』にヒロイン・ベッツィ役で出演。

映画『レディ加賀』は2月2日石川県先行公開、2月9日新宿ピカデリーほか全国ロードショー。
出演:小芝風花、松田るか、青木暸、中村静香ほか

詳しいストーリーや出演者、公開劇場などの情報は下記公式サイトにて
https://ladykaga-movie.com/

スタイリング/山口美帆 ヘアメイク/IKUYO 衣装協力/(ジャケット、パンツ)SHIROMA、 (ネックレス)blueta1、 (ピアス)petit ami…  (リング)cujacu

(c)映画「レディ加賀」製作委員会

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