八坂沙織、ミュージカル『シーラカンスアピアランス』で薬物中毒の難役に挑戦

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八坂沙織 (「シーラカンスアピアランス」ゲネプロより)
八坂沙織 (「シーラカンスアピアランス」ゲネプロより)

女優・八坂沙織さんが主演を務めるミュージカル『シーラカンスアピアランス』が、新宿スターフィールドにて30日まで上演中。『アリスインデッドリースクール』をはじめとして、アリスインプロジェクト作品の脚本を数多く担当してきた麻草郁さんが、脚本・演出を手がけている。

本作は、薬物中毒をテーマにした異色ミュージカルで、薬物依存症の者たちが自主的に身を寄せる更生施設を舞台に、それぞれの患者が抱える悩みや葛藤、人との関わりの中で自分を見つめ直し、再起に懸ける生き様などが凝縮された作品となっている。

薬物中毒に苦しむ難しい役柄に挑戦した八坂沙織さんは、「日本に住んでいるとなかなか触れることがないことなので、確かに難しい役柄ですね。でも、どちらかというと、薬物中毒を表現することに重きを置いているのではなく、どの場所にもいろんな人間関係があって、いろんなドラマがあるということなんです。きっと皆様にも共感するものがたくさんあるんじゃないかなと思います」と話した。「演じるのはどんな役もそれぞれ難しいんですけども、今回は佐藤ゆうきちゃんが私のお姉さんということで、そこが一番大変でした。どうしても私のほうが見た目が年上なので、お芝居で頑張るしかありません」と笑顔で明かした。

薬物中毒という非常に捉えがたいテーマに挑んだ麻草氏に、この題材を選んだ理由を尋ねると、「僕自身が関わっていた友人たちを、こういうきっかけでたくさん失くしたり、別れたりしてきた経験があって、どうしてそうなってしまったんだろうと深く考えていました。ただ “薬物ダメ、ゼッタイ!” と言うだけではなく、その人がどうしてそうなってしまったのかが、すごく大事なことだなって思って。苦しみの根源はどこにあって、何に癒しを求めたんだろうっていうのを探りたかったんです」と語った。

今回、脚本だけでなく演出も自ら手がけたことについて、「2年ぐらい前からの細川(博司)さんの演出補などで一緒に作品を作ってきてたんです。それで“演出をやりなよ”って、言ってもらったこともあって、細川さんとの出会いはやはり大きいと思います。見せたい物語や見せたい世界を自分で作ってみようという想いがこの2年でだんだん募ってきて、今回の作品はその集大成なのかもしれません。」と明かした。

作品の見所について、「物語はワクワクするような謎の要素があるし、ミュージカルとしても全部で10曲もあって、ものすごい情報量で楽しめる1時間半になっています」と紹介。さらに「普段あまり人に言えないこととか、苦しんでいるけど相談できない悩みとか、誰にもあると思うんです。その答えそのものじゃないんですけど、答えを探すやり方として、人と人とが繋がっていくことが糸口になるんじゃないかなと、感じてもらえたら」と作品に込めた想いを明かし、「自分の古い友達の思い出話を聞くような感じで観てもらえれば、クスリとできて面白いと思います」とアピールした。

出演者はみな個性的であるが、ミュージカルだけあって誰もが声がきれいな印象を持った。キャスティングについて聞くと、「僕がオファーをかけた八坂さんもそうですけども、とにかく歌とダンスに自信のある人を集めて下さいとお願いしました。お芝居の経験が少なくてもそれは演出でカバーしていけるので、今回のキャストに不安は全くないですね」と胸を張った。

これまでの舞台ではコミカルな演技の印象が強かったソラ豆琴美さんは、「自分は人並みには何でも出来るほうだと思っていたんですけど、今回は自分の力不足を実感しています」と医師のエリス役に苦戦した様子。それでも「私なんかでいいのかな?と思ったんですが、麻草さんが “ソラ豆さんなら出来る” と言って演出を付けてくださったので頑張ります!」と意気込んでいた。