村山彩希、単独初主演舞台『新・幕末純情伝』で見せる新たな顔「怒りの感情をさらけ出した」 革命ミュージカルに意気込み

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AKB48の元メンバーで女優の村山彩希が30日、都内で、単独初主演を務める革命ミュージカル『新・幕末純情伝』の稽古を公開した。稽古後に行われた会見には、村山をはじめ、共演の百名ヒロキ、柳下大、細貝圭が出席し、作品への熱い思いを語った。

公開された稽古では、激しい殺陣や情熱的なダンスを含む3シーンが披露された。キャスト陣は滴る汗もそのままに、本番さながらの鬼気迫る演技を展開。特に、沖田総司役の村山が見せる鋭い眼光と剣さばきは、カンパニーを牽引する座長としての覚悟を感じさせた。

本作は、演劇界の巨匠・つかこうへい氏の名作『幕末純情伝』を初めてミュージカル化するもの。「新撰組の沖田総司が実は女だった」というユニークで大胆な着想のもと、幕末の京都を舞台に、時代を駆け抜けたひとりの少女の愛と革命の物語を描く。演出は、つか作品を数多く手がけてきた岡村俊一が務め、振付はダンスエンターテインメント集団「梅棒」の多和田任益が担当。歴史的名作に新たな息吹を吹き込む。

AKB48卒業後、本作が舞台単独初主演となる村山は、主人公の沖田総司を演じる。その総司に恋をし、運命を揺るがす坂本龍馬役に百名、総司を守り龍馬と対立する新撰組副長・土方歳三役に柳下、そして総司を育て導く軍艦奉行・勝海舟役に細貝がそれぞれ扮する。

会見の冒頭、稽古の手応えを問われた村山は「総司は男前なので、男口調や態度という点で、今までAKB48のときに出してこなかった自分かなと思います」とニッコリ。「初めて怒りの感情を露骨にさらけ出して、曝け出されたなっていうのが今回の稽古場でした」と新境地への挑戦を語ると、すかさず共演者から「嘘だろ!」「得意でしょ!」と愛あるツッコミが入り、笑いを誘った。

坂本龍馬役の百名は、見ての通りの汗だくの姿で「稽古場がいつもびしょびしょになって、昨日も(村山演じる)総司がこけるくらい、みんなの汗で…」と、その壮絶さを明かす。「すっごいやってるほうもきついんですけど、そこがなんか、生の舞台の良さでもあるし。今までのミュージカルにはない、すごく見やすい作品になっている」と、伝統と革新が融合した本作の魅力をアピールした。

土方歳三役の柳下は、気合を入れすぎて稽古2、3日で声を潰してしまったというエピソードを披露。「共演者のみなさんの熱量がすごすぎて、日々『今日は勝てたかな、負けてたかな』って思うくらい、稽古場の熱量がすごい。早くみなさんに届けたい」と、カンパニー全体の熱の高さを伝えた。

一方、7年ぶりに同じ勝海舟役を演じる細貝は、「久しぶりにつかさんの作品に触れて、改めて『体に悪いお芝居だな』って本当に思います」と、つか作品ならではの心身を削るような過酷さをユーモラスに表現。「でも、みんなでありとあらゆる液体を体から放出して、とにかく頑張っていこうっていう一体感がとてもいい。それがお芝居に繋がる」と、カンパニーの結束力に自信を見せた。

本作の見どころの一つである殺陣に、今回初めて挑戦した村山。「苦労だらけでした」と正直な胸の内を明かす。「稽古初日、みなさんは経験があるということで、構え方から違う。私はゼロから教わりにいったつもりが、もうスタートラインが違うってことに気づいた瞬間に心が折れて帰りたくなりました」と、当初の苦悩を振り返った。

しかし、その言葉とは裏腹に、共演者からは「誰よりも先に稽古場に入って振っていた」と、その努力を称賛する声が上がる。村山は「木刀をおうちに持って帰って振り回していたら、寝室のドアに1回刺した瞬間から、賃貸だ…と思って。そこからはスタジオを借りるようになりました」と、お茶目な失敗談で場を和ませつつ、真摯な役作りをのぞかせた。今では、歴代公演の中でも屈指の殺陣の量をこなすまでに成長。「皆さんが付き合ってくださったおかげで成長できた。早くお見せしたいです」と意気込んだ。

男性ばかりのカンパニーに紅一点で飛び込んだ心境について、村山は「人見知りというのもあって、最初は本当に怖かったです」と吐露。「稽古場に行くのも、敵なわけじゃないんですけど、話しかけていいのかなとか…」と戸惑いがあったという。

しかし、そんな不安は稽古を重ねる中で払拭された。「殺陣でぶつかっちゃったりして謝りに行っても、すごく優しく『大丈夫だよ』って言ってくださったり、アドバイスをたくさんしてくださった。そこから、頼っていいんだなっていうふうに変わっていって、今では本当に頼って、助けられて生きています」と、共演者への絶大な信頼を語った。

そんな村山に対し、男性キャスト陣も賛辞を惜しまない。百名は「一番男前。ズバッとね、かっこいい」と評し、柳下も「素晴らしすぎる座長。回を重ねるごとにどんどん上がっていって、本当に引っ張ってもらってる感じ」と絶賛。細貝は「本当に背中で引っ張ってもらっている。どっしりと構えてストイックにやっている姿に、僕たちは『ついていこう』と思わされる」と、座長・村山彩希への全幅の信頼を寄せた。

最後に村山は、ファンと観客へ向けて「私自身、生のステージというものをずっと大事にしてきました。AKB48劇場ではなくなりましたが、ほかの環境に来て、新しい出会いがあって、こんなに刺激を受けることってなかなかないなと思います。教えていただいた感謝も込めて、みなさんにステージで伝えることが、キャストの皆さんへの恩返しだと思っています。この熱量を、ぜひ皆さんの自分の目で見ていただけたらなと思います。一度と言わず、17回全部来てください!」と、力強いメッセージを送った。

公演は2025年8月8日から24日まで、東京・新宿の紀伊國屋ホールで上演される。

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