南沙良、主演映画の公開に感慨 『愛されなくても別に』舞台挨拶で明かされた本田望結との「1年越しの謎」

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女優の南沙良が5日、都内で行われた主演映画『愛されなくても別に』の公開記念舞台挨拶に、共演の馬場ふみか、本田望結、基俊介、そしてメガホンをとった井樫彩監督と共に登壇した。毒親のもとで過酷な環境を生きる女子大生という難役を演じきった南は、1年越しの撮影秘話を明かし、会場を和ませた。

本作は「響け!ユーフォニアム」シリーズで知られる作家・武田綾乃氏の同名小説が原作。毒親のもと、貧困や虐待といった過酷な環境を生きる女子大生・宮田陽彩(南)が、ある噂を持つ同級生の江永雅(馬場)と出会い、人生が変わっていく姿を描く。監督は、日本史上最年少でカンヌ国際映画祭への出品経験を持つ井樫氏が務めた。

4日に全国公開初日を迎えた本作。主演を務めた南さんは、まず原作を読んだ際の印象について「登場人物たちが抱えているものは重たいものではあるんですけど、ちゃんとその先に救いがある物語だなと思って。意外とポップな感じがしましたね」と、物語に流れる希望の光を感じ取ったと語る。

自身が演じた主人公・陽彩(ひいろ)については、「不安定な子だなっていう印象がすごくあって。でも共感できる部分ももちろんありますし、そういうところを探しながら掴んでいった感じです」と、複雑な内面を持つキャラクターへのアプローチを振り返った。

そんな南さんの演技を、井樫監督は「本当に、自分が理想としてたイメージを、本当にさらに乗せて表現してくれたなという印象があるので、本当に感謝しております」と絶賛。南さんが役に真摯に向き合った結果が、スクリーンに深く刻まれていることを示唆した。

舞台挨拶では、キャスト同士の撮影エピソードにも話が及んだ。南さんは、いたずらっぽく笑いながら「ずっと聞きたいなと思ってたことがあったんですよ、1年間ぐらい」と切り出した。その視線の先にいるのは、共演の本田望結さんだ。南さんによると、撮影当時、自身がハマっていた「自分の島があって、ペットを育てるゲーム」を本田さんに教えたという。後日、本田さんのゲームの島に遊びに行った南さんは、信じられない光景を目にする。「遊びに行ったら、ペットの名前が『沙良』だったんですよ!」この衝撃の告白に、会場からは笑いが起こる。南さんは「私、びっくりしすぎて、『どういう意図で…?』って。なんでペットの名前が沙良なんだろうって、すごい気になって気になってました」と、1年間抱え続けた疑問を本人にぶつけた。

突然の追及に、本田さんは照れながら「いや、それはもう沙良さんに教えていただいたゲームだから」と、南さんへのリスペクトと親愛の情から名付けたことを告白。さらに「しかも漢字も沙良さんの『沙良』!」と明かすと、隣にいた馬場さんも「やばい!やばくない!?」と大興奮。このやりとりに、本田さんも「やばい…。今日の記事、これじゃないですか(笑)」と返し、会場は温かい笑いに包まれた。本田さんの一途な思いが1年越しに明らかになり、キャスト陣の仲の良さが垣間見える瞬間だった。

微笑ましいエピソードの一方で、撮影は過酷な側面もあった。南さんは、特に印象に残っているシーンとして、滝壺での撮影を挙げた。「私、水がすごい苦手で、潜るのダメなんですよ、怖くて。で、浮くのもダメなんですけど、監督が水の中に入ってきて。私の背中こうやって浮かせてくれました」と、監督が自ら恐怖心と闘う自分を支えてくれたという秘話を明かした。物語の重要なシーンを撮り切るため、キャストと監督が一体となって挑んだ、その信頼関係の深さがうかがえる。

最後に、主演としてメッセージを求められた南さん。「毎日、生きづらいなと思って生きてるんですけど、そう思ってる方は私以外にもたくさんいらっしゃって。陽彩みたいな環境に置かれてる方もたくさんいらっしゃると思うし、そういう方に寄り添える映画になってるんじゃないかなと思うので、たくさんの方に観ていただけると嬉しいです」と、自身も抱える思いを重ね合わせながら、真摯に作品をアピールした。

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©武田綾乃 / 講談社 ©2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

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