【平 美乃理インタビュー】『プレバト‼︎』でも注目のセブンティーンモデルが映画デビュ ー 20歳が考える“ルッキズム”とは…

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平 美乃理
平 美乃理

「ミスセブンティーン2021」をきっかけにセブンティーン専属モデルとして活躍する平美乃理さん。最近ではテレビ番組『プレバト‼︎』(TBS系)に出演し、その水彩画の腕前が共演者や視聴者を感心させたのも話題だ。そして女優としても活動を開始した彼女の、初出演となる映画『太陽がしょっぱい』が今月公開された。自身初体験となった映画撮影のエピソードやデビューにまつわる話、また、映画のテーマでもある“ルッキズム”についての考えも語ってくれた。

--まずは『プレバト‼︎』、話題になってますね。今まではセブンティーンのファンを中心に限定的だったのが、一気に知名度が高まった印象です。

「そうなんです。それまで同世代かちょっと年下の人が多かったんですけど、『プレバト‼︎』に出てから、お母さん世代の方や年上の方にまで知ってもらえて。地元に帰ったときも、近所のおばちゃんたちから『プレバト‼︎、観たよ』って言ってもらえて、嬉しかったです!」

--番組で披露した水彩画が評判で、先生からも高評価を受けていました。絵はもともと好きで描いていたんですか?

「はい。昔から絵を描くことが特に好きで、描きたいときに、自分のペースでゆっくり描いていました。今はSNSだとか映画を観たりだとか、絵を描くこと以外にもいっぱい楽しいことがあるんですけど、でも絵を描くのはやっぱり好きです」

--タレントとしても大きな武器になると思います。今回の番組出演で認知度が高まったというだけでなく、将来的にも活かせていけそうな。

「そうですね、何歳になってもできるし、いろんな世代の方に見てもらえるものだと思うので。将来個展とかやりたいなと思います!」

--学生時代、将来本格的に絵の道に進もうという選択肢はなかったんですか? 美大に進学しようとか。

「それは思わなかったです。誰かに教えられて描くんじゃなくて、自分が好きなときに好きなように描くほうがいいなと思って。でも基礎は大事だと思うので、最初は絵の先生に聞いたりしていました」

--大学進学を考える時期ってもうモデルデビューしていましたからね。

「はい。モデルを本格的に始めたのは高校生のときで、セブンティーンの専属モデルになりました。そこからは本格的に芸能の道に進みたいと思ったので、その(美大進学の)選択肢はなかったです」

--「ミスセブンティーン」に応募したきっかけは? もともとモデルに憧れはあったんですか?

「小学4年生くらいからファッション雑誌の『ニコラ』を見始めて、そのころから憧れていました。私は昔から背が高くて、それがずっとコンプレックスだったんですよ。本当に嫌で、ずっと背中を丸めて歩いていたんですけど、雑誌を見るようになってから“モデルさんってかっこいいな”と思い始めて、もっと姿勢よく堂々としていようと思い、そして自分もモデルになりたいと思い始めて、オーディションに応募するようになりました」

--「ミスセブンティーン」でチャンスをつかむ前にもオーディションを受けていた?

「はい、受けていました。雑誌を読んでいた頃はモデルへの憧れはあったけど自分が芸能界に入れるとは思ってなくて、そしたら小学6年生のときに、地元の岡山でスカウトしていただき、それをきっかけにオーディションを受けるようになりました。その後、地元から近いエイベックススクールの大阪校に入って、その後17歳のときにセブンティーンのオーディションに受かりました」

--セブンティーンの専属モデルって、オーディションの段階だと中学生だったりもう少し年が下の人が多いイメージがあります。

「そうですね。私が受かったときはみんな年下。私が高2でほかは中学生の子がほとんどでした。同じ事務所の上坂樹里ちゃんは一個下で一緒に受かりました」

--そういう点で不安のようものは?

「最初は大丈夫かな?と思っていました。加入してからも、モデルの先輩で、年は下だけど先に入った子たちもいっぱいいたから、どう接したらいいかなと思っていたんですけど、でもみんないい子で、編集部の方も優しく接してくださるので、すぐに馴染めました」

--その頃にはもう上京を?

「高2で専属モデルになってからは新幹線で東京に通っていて、学校を卒業してから上京するようになりました。最初は仕事があるたびに3時間半くらいかけて通っていました」

--それは大変だ。その間は何をして過ごしていたの?

「映画を観たり、編み物をしたりしていました。編み物はYouTubeで覚えました。今でもたまにします」

--そういうのも披露してみたらおもしろいかも。

「『プレバト‼︎』でくっきーさんにニット帽を編んで差し上げたら、くっきーさんがインスタに載せてくださいました!」

--すごいね、いろんな特技が。

「うーん、特技って言っていいのかな。でも、それ以外には運動とか得意なものがないし……」

--それは意外。長身でショートカットという見た目もあり、バスケとかバレーボールとかやっていたイメージがあります。

「全然できないですね(笑)。体育が苦手すぎて……。授業でマラソンがあったんですけど、山道を走るルートがめちゃくちゃ大変でした。それで時間内に走れなければ、居残りになるんです」

--特に地方の高校の体育のマラソンって結構な山道を走ったりしますよね。そして最初はモデルでスタートして、近年は女優活動に幅を広げています。専属モデルになった頃から、ゆくゆくは女優活動にも広げていきたい思いはあったんですか?

「最初はモデルしか考えてなくて、人前で演じるとかとても自分にできるものではないと思っていたんです。もともと人前で話すことが苦手だったので、東京に出てきてから演技のレッスンを受けるようになって、事務所の先輩方から刺激を受けて、それから映画とかドラマをたくさん観るようになって、俳優の仕事っていいなと思うようになりました」

--学生時代、授業で教科書を音読することとかもあまり得意でなかった?

「小・中学生のときは苦手でした。学校で弁論大会があったんですけど、発表してクラスで選ばれた人は学年、学年で選ばれた人は全校大会に出るんですけど、クラス大会のときでも声が小さくて、震えていて、それが嫌すぎて先生に『学校休みたいです』『出たくないです』って泣きながら言っていて、先生からは『成長したら自然に治るし、緊張はするものだと思っていたら大丈夫だよ』って言われてから、嫌でも頑張って出るようになりました。それから次第に治ってきて、人前でも話せるようになりました」

--その頃のことを思うと、今バラエティ番組でしゃべってるのって(笑)。

「いやぁ、もう考えられないです(笑)。大阪のスクールで活動していた頃に担当してくれていたマネージャーさんが、舞台(今年上演の『無垢ども』)を観に来てくれたときにすっごいびっくりしてて、『あの頃あんなに話せなかったのに、こんなに大きな声を出せるようになったの!?』って感動してくれて、それがすごく嬉しかったです」

--演技のレッスンを受け始めた頃って、自分を解放して、大きな声を出して演じることって難しかったのかもしれません。

「できなかったです。よく言われてました、『自分をもっと解放しろ』『自分を出せ』って。自分を出すってどういうことかわからないし、今は映画とかドラマとかいろいろ見て、自分ってどういう人間なのかなと考えるようになりました。演じるのって、楽しいから笑うとか悲しいから泣くとか、イライラするから怒るとか当たり前のことばかりじゃないですか。絵を描くときもそうで、空は青いから青色で、川の水飛沫は白でみたいに、当たり前のことをどっちもやってるから一緒じゃないかなと、そういう感覚に最近なりました」

--一緒だけど、わかりやすすぎてもわざとらしいし、内に秘めすぎると伝わらない。

「私はほかの人と比べて、“自分の内面を表現する力、エネルギーが弱すぎる”とよく言われて、まずは自分がどういう人間なのかということをすごく考えた時期があってありました。結局考えてもよくわからないんですけど、でもお芝居はお芝居でとにかく楽しくやっていけたらいいなと思います」

--その答えは今活躍している人ですら自分ではわからないのかもしれません。

「そうですね。だから楽しく、そのときのお芝居をできたらいいなと思います。舞台に出演したときもすごく楽しかったから、それはそれでよかったんじゃないかなって」

--それを演出家や監督に引き出してもらって……。あとは預けるしかないかなと思います。女優活動を始めて、どのくらいになりますか?

「1年ちょっとくらいです。映画『太陽がしょっぱい』を撮影したのが昨年の8月だったので。お芝居を初めて、映画だと初めての作品が『太陽がしょっぱい』でした。その少し前に初めてのドラマの撮影があって、そのときにいろいろ経験ができたので……」

--ほぼ未経験のときに撮影したものだったんですね。

「そうですね。初めてのドラマのときとかもう緊張しすぎて、『硬すぎるよ』って言われました(笑)」

--最初はみんなそんな感じですよね。

「すごく後悔したんですけど、でも緊張しすぎたことについては、もともと緊張しやすいのでしょうがないっていう感じです。それはそれでいい経験になったなと思っています。それを経験してから映画の撮影に入ったので、映画は結構落ち着いて撮影できました」

--本作は、主人公の田舎町の平凡な女子高生が自分のルックスに思い悩み、二重まぶたに整形したいと願うものの、家族、特に母親や祖母から反対され、バイトしてお金を貯めて手術に臨もうとしたり、それがまた家族にバレたり、といった攻防が繰り返され……。“未成年の整形手術”“ルッキズム”といった社会問題について、少年少女やその親たちに送る内容になっています。平さんは主人公・美波(重松りさ)の高校のクラスメイト・キララ役を演じています。撮影は愛知県で行われたそうですね。

「はい。環境的には自分が育った場所と雰囲気が近かったし、重松さんが演じる美波との関係も小さい頃からの友達という感じでです。私も幼稚園から高校まで一緒の友達がいたので環境的にはすごく似ていて、安心して演じられました」

--役にはすんなり入っていけたようですね。

「役作りはあったんですけどわりと自然体でできたかなと思います。監督にも 『ひょうひょうと演技してていいね』と言われました(笑)。美波はほかの人をうらやましがったりだとか、キララに対しても『可愛くていいな』『楽しそうでいいな』という気持ちを持っていて、結構重い考え方をしているけど、それに対してキララは何も考えていないわけではないけど、あっけらかんとしたキャラクターなので、美波につられて重くならないよ
うに、かるーい感じでお芝居できるように意識しました」

--美波とキララ、二人の少女の対比をうまく出すことがポイントだったのかも。

「そうですね、作品のテーマもそうなんですけど、“ゆる重”(ゆるくも重い)みたいな、美波とキララの関係も“ゆる重”になっています。キララが学校でどういうキャラクターなのかとか、どういう立ち位置なのかとか、美波に対してはいつもどういう態度で接しているのかなどは、台本には書かれてないけど自分なりに考えたりして演じました」

--恋愛に関してもあっけらかんとしてて(笑)。

「そうですね。学校一イケメンの彼氏がいて、その付き合いも軽い感じだから、それを見ている美波はまたイライラする、みたいな。軽いです、結構、キララは(笑)」

--10代で整形手術を受けたいという美波の気持ちはわかる?

「今そういう女の子は多いと思います。インスタとかTikTokの影響で、何より見た目が一番という感じで、“この子くらい可愛くないとダメ”とか“この子くらいになりたい”とか、それこそルッキズムにとらわれた考え方をしている子が多いと思います」

--10代が“整形が普通”と思う風潮ってインスタやTikTokの影響が大きいんですね。

「当たり前というか、みんながお互い受け入れられるようになってきていて、それがTikTokが流行り始めた頃は、まだ、“えっ、整形してるの?”ってそういう意識があったのかなと思います」

--平さんの場合、身長が高いのがコンプレックスというお話でしたが……。

「そのときは本当に嫌で、ファッション雑誌を読んで、それを長所にしている人がいっぱいいることを知って、何か今の自分を活かして活躍できることを見つけられたらいいなと思っていました。ずっと岡山にいて、東京に出てきて、同じ雑誌のモデルさんを見て、“やばい!自分とレベル違いすぎる”と思っていたんです、最初は。でも、別に自分は自分でいいところもあると思うし、自分にしか出せない雰囲気はあるなというのをちょっとずつ気づいていくことができたので、だから見た目とかで悩んでいる人も、そういう考えになってほしいなと思いました」

--自分を表現していく選択肢ってありますからね。

「そうですね。自分の良さを見た目だけにとどめちゃダメというのはあると思います」

--でも美波もそうだけど、コンプレックスの渦中にいるときはなかなかそうは思えないのかも。後になってから、“なんであのときあんなに悩んでいたんだろう”と思えても。

「“とにかく変えなきゃいけない”とか“そうしたい”って、そのときの意思は本当にすごいと思います。そのときは悩むしかしょうがないかなと思うんですけど、本当にルッキズムにとらわれすぎないことは大事だよということが、この映画から伝わりました。ルッキズムにとらわれずに、ありのままの自分の姿や友達を大事にして……というのを優しく伝えてくれる映画だと思っています。重いことは重いんですけど、やさしく温かい映画だと思います。その重い感じとゆるーい感じ、そして家族の温かさが、すごくいい感じで組み合わさってて、いい映画だなと思いました」

--心配してくれる家族の存在も大きい。

「映画の中で家族が“美波は美波のままでいいよ”ということを言ったとき、ちょっと泣けました。本当にそうだなと思って」

--本作は家族の物語でもあって、ルッキズムに悩む若者だけではなく、いろんな立場で共感できる話になっています。

「はい。私世代の子だけでなく、美波の家族世代の方も共感できる部分が多いんじゃないかなと思います」

--いい作品に巡り会えましたね。

「はい。初めての映画がこの作品で嬉しいです」

--今後も女優活動を本格的に?

「はい。自分のやりたいことを一つに絞るんじゃなくて、モデル、俳優、アート、いろいろ極めていけたらいいなと思います」

--アートも、モデル、役者と横並びで?

「そうですね」

--単に“絵の上手い芸能人”にとどまるのではなく、本格的に。

「はい。それぞれ頑張りたいなと思います」

--女優業では今後やってみたいことはありますか?

「今はまだ全然経験が浅いので、もっとドラマや映画の勉強をして、いろんな役に挑戦してみたいです。ドラマや映画ってずっと残っていく作品なので、一つの作品でいつの時代でもいろんな人の心を動かせるような作品に出られたらいいなと思います。でも、まだまだ学生役をやりたいです(笑)」

〈プロフィール〉
平 美乃理(たいら みのり)

生年月日:2004年6月28日
出身地:岡山県
身長:171cm
趣味:アート、マンガ、アニメ
特技:水彩画
中学生時代からモデル活動を開始。「ミスセブンティーン2021」をきっかけにセブンティーン専属モデルに。昨年から女優活動も開始。舞台『無垢ども』に主演したほか、ドラマ『推しが上司になりまして』(テレビ東京)、『マルス―ゼロの革命-』(テレビ朝日)、『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』(MBS)などに出演。現在、ドラマ『その着せ替え人形は恋をする』(MBS)に出演中。

映画『太陽がしょっぱい』は新宿K’s cinemaで公開中。キャストやストーリーなどの詳細は下記ホームページにて
https://www.ks-cinema.com/movie/taiyoushoppai/

写真提供/エイベックス・エンタテインメント

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