【山田杏奈インタビュー】「いろんなタイプの役をやらせてもらえるのは幸せ」 W主演映画『樹海村』では初ホラーに挑戦

ニュース 女優 映画・ドラマ
山田杏奈
山田杏奈

2月5日公開の映画『樹海村』(清水崇監督)で山口まゆさんとともにW主演を務める山田杏奈さん。映画の舞台は富士の樹海、かつて森の奥深くに何者かが暮らす村が存在していた。封印された凶悪な呪いの箱。逃げても逃れられない箱の恐怖と、富士の樹海がもたらす負の引力に翻弄される姉妹を描く。姉妹の周辺では人が亡くなったり、怪事件が続々と起こり……。

--まず完成した映画を見た印象はいかがでしたか?

「想像していたものの上を行ってて、すごいなと思いました」

--たとえばどのシーン?

「ラストシーンはCG合成されていて、演じているときはどうなるかわからなかったのですが、完成した映像を見て、すごく壮大な感じで、すごいことになっていると思いました」

--このクライマックスのバトルシーンは大きな見どころですね。ところで本作はホラー作品ということになるんですよね。

「登場人物のバックボーンというか、この人物はこういう経緯でこうなりましたということが丁寧に描かれ、人間ドラマとしてきちんと作られているので、新しいジャンルのホラー作品だなと思いました。ファンタジー要素もあって……」

--これまでホラー作品への出演はありましたか?

「幽霊が出てくるようなものはなくて。でも初めて主演をさせていただいた映画(2018年『ミスミソウ』)がダークなテイストの作品で、何人か殺したりしていたのですが、わりとそういうイメージのものに呼ばれることがあったので、今回ホラー作品だからといって驚きやとまどいはなかったです」

--山田さん演じる響(ひびき)は、お姉さんの鳴(めい、山口まゆ)とともに“呪いの箱”に運命を翻弄されます。響は内向的で、独特な雰囲気を醸し出している、とても繊細な女の子ですね。

「監督と『響って“ナウシカ”みたいな子だね』と話していました。人と関わるより、自然とか動物の生死とか、そういうものに共感を抱くという感じの人なんだなと。私から見たら変わってるなと思うし、でも本人としてはそれが一番正しいと思ってやっているので、そこは見え方として面白いなと思いました」

--演じるにあたってとまどいのようなものは?

「私とは全然違う役柄なので、わからないことのほうが今回は多かったです。わからないというか、響らしいといえばらしいんですけど。でも、お姉ちゃんとの関係性で、私自身にも弟がいて、仲はいいですけどそんなにたくさん話すわけでもなくて、今回もラストで姉妹の、意識しないところで気遣い合っているという部分は共感できました。そこの関係性はすっと納得できるところでした」

--演じていて、恐怖の表情のシーンとかイメージしにくい部分もあったのでは?

「完成したものだと、幽霊も映っているし、声も映っていますけど、撮影をするときは何もない状態だったので、段取り的に“ここでこう動いて、こっちから動いて”と、考えながら反応しなければいけないというのがホラー映画ならではのお芝居で、こういう感じなんだなと思いました。また新しい感覚でした」

--お姉さん役の山口まゆさんは、実際は同学年なんですね。でも同じお姉ちゃんと妹という感じは出ています。

「よかったです! 二人とも空気感が似ている部分があって、私は妹でいようと、まゆちゃんはお姉ちゃんでいようと、そこは見た目だけじゃない空気感が出ていたと思います。お姉ちゃんには叱られているような場面が多かったです。それに響はチェッみたいな態度で(笑)。でも姉にめちゃめちゃ迷惑かけている妹ですから」

--劇中大きな事件を起こして、周りの人を混乱に陥れるような場面もあります。

「でも響として生きているときは、“私はこういう感じだし、これ以外方法がないからしょうがないじゃん”という感じで。そう考えてないと行動できない。でも改めて引いて見ると、“お姉ちゃん、すごく大変だな”と思いました(笑)」

--今回は、特にクライマックスでは感情が入る芝居だったと思いますが、そういう感情が大きく揺れ動く役柄をやるときって、日常でも引っ張ってしまうタイプ?

「私はわりとすぐ抜けるタイプです。でも、全く違う役なら自分とは違うと思えて切り替えられるんですけど、似ているところもあればこの部分は違うなという微妙な役柄だと、特に地方で缶詰で撮影している場合は、ずっと気分が落ちているときもあります。役から抜けられる時間がないので」

--たとえば連続ドラマだと、撮影と撮影の間に別のお仕事が入ったりして気分転換もできますからね。今回の映画は缶詰パターンですか?

「いえ、今回は他の作品を途中で撮影していたので、わりと家に帰れていましたね。樹海での撮影もあったんですけど、でも飛び飛びだったので、泊まりでも一泊二泊くらいまででした」

--程よく集中して、程よく気分転換もできて?

「そうですね。『よし、ホラー撮りに行くぞ!』という感じで行っていました(笑)」

--取り憑かれた芝居をしても、それを日常に引っ張ることはなく?

「今回は全然……。私はそういう取り憑かれたように感じる感覚とか全然ないので。でも想像でしか演じられない、わからないから想像でやるしかないので、すっと役に入れました」

--山田さんは、外見的には“10代で制服が似合って可愛い娘”という役が多いイメージですが、でも内面的には明るい役もあれば、陰がある感じだったり、すごく繊細だったり、いろんなタイプの役をやっていますね。

「いろいろできたほうが楽しいですから。最初の頃は今回の響のような役が多かったんです。人を殺すとか殺されるとか、親がめちゃくちゃ仲が悪いとか。最近になってやっと普通の役とか明るい役とかももらえるようになりました。逆に昔は明るい役に苦手意識を持っていて、“自分自身あまり明るくないからかな”って思ったりしていたんですけど(笑)、でもどんな役にも違った楽しさがありますし、いろんな役をやらせてもらえるのは幸せだなと思っています」

--山田さんって、クリエイターから見ると、陰のある役とか、内面に何かを持っている役をやらせたくなるイメージがあるのかな?

「顔の作りとか持つ雰囲気とかそういうのもあるんですかね(笑)」

--そんなにキャピキャピしたイメージはないですからね(笑)。

「そうなんですよ。キャピキャピした役もやりたいんですけどね。王道ヒロインのような、キラキラ感のある役もやってみたいです」

--2019年放送の『新米姉妹のふたりごはん』(テレビ東京)はキャピキャピしたところがある、明るい役でした。

「あの子は明るかったですね。なんか着ぐるみみたいな感じでした(笑)。そういう“キャラクター”というイメージで。深夜のグルメドラマだったので、そこはキャラクター性を重視して演じました。ニコニコぴょんぴょんしてる役でしたね」

--本格的に女優を始めてから7、8年くらい。この作品で自信がついたというものなどはありますか?

「自信は今もないんですけど、お芝居することが楽しくなったのは、特定の作品ということでなく、15歳くらい、高校に上がったくらいの頃ですね。自分の雰囲気とか年代的に変わる時期で、お芝居を現場でできることが増え始めて、そこからやっぱり楽しいなと思えるようになりました。毎現場毎現場、新しいことが出てきて。やり切れたと思うことは多分一生ないとは思うけど、でもお芝居を楽しいと思えないと、この仕事は結構きついし、できないと思うので、そこはやるモチベーションが高い状態にいれているから、環境としては以前より“これを仕事としてやってるんだ”という気持ちでやれているなと思います」

--1月に20歳になりましたが、20歳を機にやってみたいことなどありますか?

「ここ何年か陶芸をしたいなと思っていて、ずっと踏ん切りがつかなかったんですけど、“20歳になったし……”と思って踏ん切りがつくかなと。一人でこもってやりたいなと思います」

--“みんなでわーっと”というより、好きなことを黙々とやるのが好きなタイプ?

「みんなで集まるのも好きなんですけど、ご時世的に難しいので、今は一人でできることを、と」

--最後に女優としての今年の目標を。

「20歳になる年でもあるので、今は学生の役が多いんですけど、社会人の役などもやっていけたらいいなと。いろいろな作品をやるたびに新しい発見があるので、それを楽しみに一つずつ取り組んでいけたらいいなと思います」

〈プロフィール〉
山田杏奈(やまだ・あんな)

生年月日:2001年1月8日
出身地:埼玉県

「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリ受賞しデビュー。2016年、映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』で映画デビュー。近年の主な出演作に、映画『小さな恋のうた』(2019 年/第 41 回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞)、『五億円のじんせい』(2019 年)、ドラマ『10 の秘密』(カンテレ・フジテレビ系/2020 年)、『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(MBS・TBS/2020 年/W 主演)、『名も無き世界のエンドロール』(1 月 29 日公開)、『書けないッ⁉~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(テレビ朝日系/2021 年)などがある。

映画『樹海村』は2月5日、全国東映系で公開。詳細は公式サイトにて。

https://jukaimura-movie.jp/