【田中珠里インタビュー 2】『だから私は推しました』劇中アイドル「サニーサイドアップ」のメンバー「サニサイとして紅白目指してます!」

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田中珠里
田中珠里

元「X21」のメンバーで、現在は女優活動が中心の田中珠里さんが、話題のドラマ『だから私は推しました』(NHK)に出演中。劇中アイドルグループ「サニーサイドアップ」のメンバー・那須凛怜役を演じている。ドラマは回が進むごとに注目度が高まっている。今回は主に「サニーサイドアップ」としての活動を、X21時代の経験と比べて語ってくれた。

■役柄の凛怜についてや撮影の裏話を語ったインタビュー1

--ドラマ『だから私は推しました』は劇中地下アイドル「サニーサイドアップ」とそれを応援するファンをとてもリアルな感じで描いていることでも評判になっています。

「アイドルだからこその“あるある”、オタクならではの“あるある”もよく出てきます。台本はわりと淡々と書かれているんですけど、コールとかファンの人のふるまいの熱量は演出でかなりリアルになっています」

--制作にあたってもちろん入念な取材を重ねられたと思いますが、きっとスタッフさんの中にアイドル大好きで現場にも顔を出してる方がいらっしゃるんじゃないかと。

「はい。プロデューサーさんがアイドル好きな方なんです。女性の方なんですけど」

--なるほど! じゃあ、主人公に自分を投影している部分もあるのかもしれないですね。

「プロデューサーさん、いつも収録が楽しそうでしたから」

--でもドラマを観ていて感じるのは、ファンの人たちの感覚はメジャーも地下も本質的には同じような感じなのかも。推しのアイドルとの接し方やライブ中のコールとか。アイドル側も、壁を作らないようにタメ口で話したり。もちろん地下アイドルのほうがより距離感は近いと思いますが。

「ファンとのコミュニケーションは変わらないですよね。そのコミュニケーションの部分はX21の経験が生かされました。私、最初は初対面のファンの方と接するのに緊張していたんですけど、2、3年続けていたら慣れてきました」

--ほかのキャストたちも、歌やダンスは事前の練習でマスターできても、その感覚をつかむのは戸惑ったのかも。

「そうだと思います」

--X21で約6年間、リリースのたびに何ヶ所も回ってイベントやってましたからね、最初恥ずかしくても慣れますね。「サニーサイドアップ」で人見知りキャラのハナちゃん(白石聖)でも慣れるかも。そんなハナって、ドラマなのでスキルのなさや人見知りなところは多少オーバーに描いていますが、でも実際アイドルファンウケはするキャラクターでしょうね。

「そう、守ってあげたくなるような」

--最初歌もダンスも下手だった子が、少しずつ上手くなっていく過程を見たいという気持ちも。

「何目線なのかな。親目線?」

--「この子の良さは俺だけがわかっている」みたいな。

「でも地下アイドルって、よりファンの人たちに支えられている感じが伝わります」

--ドラマが始まる前にサニーサイドアップのミュージックビデオも公開されましたが、それも地下アイドル感が満載です。公園で自撮りという、チープな感じとか。

「駆け出しのアイドルらしい雰囲気を出すために携帯カメラ一台だけで撮ったんですけど、あそこまで撮れるのがすごいなと思います」

--X21のときと大違い?

「そうですね(笑)。もうお金のかかり具合が」

--X21は空撮みたいなものもありましたからね。

「ありましたね」

--X21はメジャーからCDを出していたし、それなりの規模のホールでライブもやれていたし、こういう地下アイドルの境遇を経験するというのは、

「初めてでした。これが“本当のアイドル”なのかなと思いました」

--(笑)。どちらが“本当の~”ということでもないと思うけど。

「でも最初何もないゼロの状態からのスタートで、自分たちで一生懸命に頑張っていって一歩ずつ階段を上がっていくという」

--そう考えるとX21って、結成のときから周りの大人の人たちにお膳立てをしてもらえてましたからね。

「かなり恵まれていましたね。サニサイのMVの撮影のとき、踊りながら思ってましたもん」

--それでもX21は最終的にはブレイクしきれないまま終了という形になってしまいました。最後の原宿クエストホールでの解散ライブは超満員で「これくらい普段から入ってくれていれば解散しないで済んだ」とメンバーの誰かが言ってたのを思い出します。X21って楽曲はいいじゃないですか。

「めちゃくちゃいいです!」

--ビジュアル的にもみんな可愛くて…。

「本当にチャンスはたくさんあったと思うんです」

--でも、そもそもX21のコンセプトが、個人個人が女優やモデルとしてブレイクするためのステップだったと思うので、その一つの過程をいったん終了しただけという考え方もできます。

「そう考える子もいましたけど、一方でずっとアイドルとして頑張って大成したいという子もいて、バラバラでした」

--アイドルになりたくてオーディションを受けた子たちが集まったグループだと、『武道館を目指して…』とか共通の目標が作りやすいかもしれないけど。

「そう、『目指せ!武道館』みたいな感じで一致団結できたかもしれないけど、X21はそれぞれの目指す方向がバラバラだったので。でもサニーサイドアップとしては『紅白歌合戦』出場を目指しています! NHKから生まれたグループなので」

--それは役の設定として、というより、実際の自分たちとして?

「はい、がっつり『行きたいね』って目指しています」

--ドラマが話題だし、あるかもしれませんね! 一番いいのは歌手として出場することだと思うけど、それ以外で応援ゲストみたいな企画モノ枠でも可能性ありそう。

「そうですね。ちょこっとでもいいから参加したいです!」

--さて、『だから私は推しました』、ここからの展開も楽しみです。

「これからメンバー同士でいろいろあったりします」

--うーん、なんだろ。メンバー間で揉めたりするのかな。

「それは観てもらってからのお楽しみということで(笑)」

--でも5人だとずっと一緒にいるから喧嘩になったら逃げ場がないですからね。たとえば21人くらい大人数でいたら、今喧嘩している子とはちょっと距離をとってとか、冷却期間を作れるけど。

「そう、誰かに逃げられるから。でも5人だったらそれができない」

--「サニーサイドアップ」ってセンターは花梨さんで固定?

「そうですね。固定です」

--だと、どうしてもやっかみみたいなことがありそう。そういうのが物語の中でも出てくるのかも…。

「どうでしょう、出てくるかもしれないです。本当に“アイドルグループあるある”が多いですから」

--X21の場合センターは……。

「(吉本)実憂が卒業するまでは圧倒的センターでした」

--それは最初から固定だったら、そういうものだと思ってたのかな。それとも『いや、私がセンターを奪ってやる』と野望を持った人がいたとか。

「いや、ありましたよ。特に最初のころは実憂と私たちの間に境界線みたいなものがあったんですよ」

--吉本さんも以前のインタビューでそういうような話をしていました。でも卒業するときに、思いもよらずみんなが泣いてくれたことが本当に嬉しかった、と話してくれました。

「でも、メンバーの中で私が実憂と一番仲がよかったと思います」

--ところで、田中さんはアイドルの経験を経て女優活動も並行してやってきて今に至っています。これからは女優活動をメインに?

「そうですね」

--今回また役柄とはいえアイドル活動をすることになったわけですが、本格的には歌はもうやらない?

「いえ、歌もやっていきたいです。歌も歌える女優になっていきたいと思います。今も自主制作CDを作ってコミケで売ったりしています」

--それはX21時代からのファンの人にとっても嬉しいことですよね。最後に改めて『だから私は推しました』についてメッセージを。

「地下アイドルとオタクの関係性をリアルに描く、今までになかったような作品だと思います。だから共感してもらえる部分もたくさんあると思うので、現役アイドルの方にも、実際今誰かを推しているオタクの人にも見てもらいたいです! 幅広く見ていただける作品になると思います。紅白行きます!」

(インタビュー・終)

よるドラ『だから私は推しました』はNHK総合で毎週土曜23時30分~放送。

田中珠里(たなか しゅり)

1998年12月14日生まれ、京都府出身。2012年『第13回全日本国民的美少女コンテスト』に出場しファイナリストに。それをきっかけに、次世代ユニット「X21」のメンバーとしてデビュー。X21時代から並行して女優活動も行い、最近では配信ドラマ『TUNAガール』などに出演している。