早見沙織、アニメ映画『GANTZ:O』でレイカ役を熱演「私自身も大きな戦いを終えた気持ち」

声優 映画・ドラマ
早見沙織
早見沙織

話題のフル3DCGアニメーション映画『GANTZ:O』(ガンツ:オー)にて、元・人気グラビアアイドルで、「東京チーム」の一員として戦闘に参加する「レイカ」役を演じている声優・早見沙織さん。「終わったあと全身心地いい疲労感が残るような収録でした」というほど熱が入った、本作の収録を振り返ってくれた。

奥浩哉氏による累計発行部数2100万部の大ヒットコミックが原作。死んだはずの人間たちと謎の星人との壮絶な死闘を描いた物語で、これまでアニメ化や実写映画化され、いずれも大ヒットしている。今回描かれるのは、大阪のGANTZチームが初登場し、本来の主人公・玄野計がいない世界で加藤勝が奮闘するエピソード「大阪編」。フル3DCGアニメーションで描かれるのが話題だ。

血が流れたりハードな描写もあることについて早見さんは、「これまでそういう作品には触れてこなかったので、ファーストインプレッションとしては衝撃もあったんですけど、衝撃が大きい分、おそらく観た人に印象深く残る作品になるんじゃないかなと思いました」と話す。

レイカはもともとアイドルとして活躍し、リーダーの玄野の再生を願い、GANTZのミッションに参加。身体に大きなダメージを受けたり、ハードな戦闘に巻き込まれる。「アニメーションの場合、ギリギリのところまで追い込まれて、そこから美しく挽回するというシーンも多いと思うんですけど、この作品はかなり無常観を感じるところもある。助けたいけど助けられなくて、助けにいこうとするのを止めたりするシーンも…。生きてやる!なんとかしてこの状況を打破してやる!という強い、精神力を超えた何か、気力、必死さで出てきているものあると思います。かっこいいとか華麗というより、かなりもがいている部分はあると思いましたね」と語る。

もし自分がそういう立場に立たされたとしたら…。「その状況になってみないとわからないですけど、もしかしたら私もなりふりかまわず必死で行動するのかもしれない。自分の見えない部分というか…」と早見さん。今現実的なことで逆境に立たされた時の対処法を尋ねると、「いろんな方法をとって回復を試みます。寝たりだとか(笑)。それでも忘れられないことがあったら、もう一回立ち返ってみたり…」と微笑む。

アフレコは物語の最初から順に収録していった。この作品は登場人物の動きをリアルに表現するために、モーションキャプチャーを取り入れているが、映像にはモーションをつける役者の声も入っていて、声を当てるにあたって洋画のアフレコに近いイメージだったようだ。そんな中、「演じてくださっている役者さんの呼吸感だとか、あとは感情の流れみたいなものはかなり大切にして」、アフレコに取り組んだという。

監督からの指示としては、「やっぱり作品の内容も内容なので、全体としてほんとに『全力で』ということは多かったですね」という。「前半の玄野くんとのシーンもそうですし、後半の怒涛のように続く戦闘シーンも。泣くシーンは本当に泣いて、走るシーンでは、音は立てられないですけど、本気で息を切らして…。終わったあと全身心地いい疲労感が残るような収録でした」と振り返った。

物語の舞台は大阪。ミナミなど描かれた大阪の街並みは実にリアルだ。そして登場するキャラクターはコテコテの関西系。その役名は吉本芸人の名前からとられていたり、実際に芸人がアフレコを行うことでさらにコテコテ度が増している。「普段テレビだったりで、一視聴者として見させていただく芸人さんたちの名前が台本に並んでいたので、すごくびっくりしましたね。一つの作品で共演させていただけて、うれしいなと思いました」と喜ぶ早見さん。実は結構なお笑い好きで、「詳しくはないですけど」というものの、「大阪に行ったときにはチケットとって吉本新喜劇を観にいったこともあります」というほど。

作品の見どころとしては、「迫力のあるアクションシーンが目立ちますが、心の機微みたいなものもかなり繊細に描かれています。顔に全部は出さないんだけど、言葉尻ににじませたりだとか、繊細な表現って私はすごく好きでした。見ていて、このときどういうことを考えているんだろうと思わせる場面や、わずかに目で会話したりだとか、言葉はないけど、通じたり通じようとしているところは、楽しみな部分かもしれません」と語る。

今回の作品を経験して声優として成長につながったことを尋ねると、「収録には私自身全身の細胞を開いて臨みました。もちろん普段のアフレコでも、それくらいの熱量をもって臨んでいますが、今回は作品の内容だったり、もともとの映像を受けて自分自身もどんどん活性化していった部分もあります。今回全身の力を注ぎこんで録ったというのはきっとこれから先もいい経験になったと思います。私自身も大きな戦いを終えたような気持ちです。最後に『終わった…』というシーンがあるんですけど、その時に私もそう思いました。同じ戦いをやってきた感じで…」と明かした。

最後に「必死で生きている人間たちの必死な姿が描かれているので、劇場の大きな画面で観て、観ている方にも必死な気持ちを感じてもらえればうれしいです。音楽も素敵なので、目で、耳で、そして身体全体でGANTZを感じてもらえればうれしいです」とアピールする早見さんだった。

映画『GANTZ:O』(ガンツ:オー)は全国公開中。

(c)奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会