【井頭愛海インタビュー】ドラマ『過保護な若旦那様の甘やかし婚』で初の新妻役「 キュンキュン作品ってこんなに細かいこだわりがあるんだなと…」

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井頭愛海
井頭愛海

女優の井頭愛海さんが、放送中のドラマ『過保護な若旦那様の甘やかし婚』(MBSほか)でヒロイン役を務めている。老舗旅館の若旦那といきなり結婚することになった板前修業中の女性を演じる本作、彼女にとって初の本格的なラブストーリー出演となる。本作の役作りや見どころなどを語った。

累計40万部を突破したcomic tint発の同タイトルの人気連載漫画を実写化した本作。浅草の老舗旅館の若旦那・染谷雪斗(高野洸)と、人生のどん底だったときに雪斗がくれた甘い金平糖に心和み、以来“推し”として一途に想いを寄せる板前修業中のピュアな女の子・鶴岡依音(井頭)、物語は雪斗からの突然のプロポーズから始まる、過保護で“甘々な”新婚生活を描く。

--まず、今回の役を演じることが決まったときの感想を教えてください。

「今回オーディションだったんですけど、依音ちゃんという役は、台本を読んで、“なんて可愛らしい子なんだろう、自分が演じられたら楽しいだろうな”と思って、オーディションでも依音ちゃんの気持ちをすごく考えて、自分なりに挑んだ作品だったので、決まったときはすごく嬉しかったです!」

--演じるにあたって心掛けたことは?

「依音ちゃんは板前修業中のすごくピュアな女の子なんですけど、そのまっすぐさといいますか、何事に対しても一生懸命に取り組むところ、ひたむきに頑張るところは、ぶれない軸みたいなところで、それを大事にしつつ、小さな頃に親を亡くしているという設定なので、これまでどういう感じで生活してきたんだろうというバックボーンを考え、その中で一人で頑張っているという、強いく揺るがない芯みたいなものは大事にしながら演じました」

--そのバックボーンを考えるにあたり、まずは原作を読んで?

「原作の世界観、こだわりみたいなものはきちんと引き継ぎつつこのドラマの世界観を作っていきたいなと思ったので、何回も読み直しました。取り入れるものはないかなと探りながら……」

--原作では描かれていないことも自分なりに想像しながら?

「自分なりに年表を作ってみたりしました」

--演じるにあたってそういう作業はどの役柄でもやっているんですか?

「そうですね、わりと考えるのが好きなので(笑)」

--撮影は終了したとのことですが、振り返っていかがでしたか?

「私自身ラブストーリーに挑戦することが初めてだったので、不安な部分も最初はあったんですけど、でも三木(康一郎)監督がいい演出をしてくださり、とても素敵なシーンがたくさん撮れたのではないかなと思っています」

--作品はキュンキュンポイントが満載のようですが、特におすすめのきゅんシーンを挙げていただくと……。

「毎話ごとにキュンキュンポイントが出てくるんですけど、私のおすすめは、若旦那さんがメガネをかけてらっしゃるシーンがあって、それを外して二人の距離が近くなるというところは、なんだか憧れのシチュエーションといいますか、ちょっとドキドキする距離感だったり、そこはすごく好きなシーンだなと思いました」

--きゅんシーンを実際に演じていていかがでしたか?

「思った以上に、角度だったり寄せ方だったり、そういうのがすごく細かく、一つずつ丁寧に作り上げていく中で、こんなにも大変なんだなということをすごく感じました。私自身もそういう作品を“素敵だな”と観ていた一人だったんですけど、そこにこだわりがたくさんあってキュンキュンする作品ってできているんだなと思いました。ほんとに戦いだな……みたいな(笑)」

--中でも特に注意した点は?

「タイミングや間がすごく大事だと監督がおっしゃられていたので、それを大事にしていたら、きゅんと感じる部分ももちろんあるんですけど、心の中で“1、2、3……”と間を数えていたりとか、ほかのことを考えてることも実は結構多くて(笑)」

--相手役の高野さんの印象はいかがでしたか?

「すごく真面目で、包容力、優しさがにじみ出ている方で、一生懸命作品に向き合われている姿を見て、私も頑張らなければなと力をいただきました。撮影中は他愛もない話をしながら、二人で“どうやったらキュンキュンするんだろう”“こうしたほうがいいんじゃないかな”とか合間に話したり、本読みをしたりして、一緒に作り上げていきました」

--高野さんは人気ユニット・Dream5出身ですが、現在は俳優として注目の存在です。

「『天才てれびくん』を拝見していましたので、初めてお会いしたときは、“あっ、高野さんだ!”って(笑)。Dream5出身の大原優乃ちゃんや日比美思ちゃんと共演した経験もあるので、そういう話もしていました」

--依音とご自身が共通するところと違うところは?

「依音は小さなときからずっと一人で頑張っている女の子なんですけど、私も小学生のときにこの活動を始めて、親元を離れて東京でお仕事をすることが多く、普段友達とも遊べず、レッスンなどを頑張っていて、依音ちゃんも板前修行に頑張っている。でも自分の仕事が大好きで、強い意志を持って目標に向かって頑張っているという点は一緒なのかなと、そういう気持ちはすごくわかりました。違う点は、依音ちゃんの妄想シーンといいますか、心の声というのが結構あったんですけど、そこまでのめり込めるものが私にはなかったので、推しがいるというのは幸せでいいなと思いました」

--モノローグ(心の声)をつける芝居は初めて?

「はい。難しかったです。心の声と表情が別撮りだったので、どういうテンションでやったらいいんだろうとか、やりすぎたらくどくなっちゃうかなとか、いろいろ考え、塩梅を見ながら演じましたが、それは難しくもあり、楽しかったです」

--内容的にナチュラルにやるよりはちょっとオーバーめのほうがいいのかも?

「でもあんまりやりすぎるのもよくないと監督がおっしゃられていたので、わりとナチュラルな上に、ちょっとコミカルな面もあるというイメージで演じました。私自身、発しているセリフ以外にもこういうことを思っているんじゃないかということをたくさん書き出したり、あとは原作に描いてある妄想の声みたいなものを参考にさせていただいたり、台本にたくさん書き込みました」

--板前役を演じる上で準備したことはありますか?

「普段料理をするのですが、作品の中で包丁を使うシーンがあるのかなと思いまして、野菜を切る練習はいつもより多くするようにしました。あとは撮影中に板前さんが教えてくださったので、そのときに魚の切り身の切り方などを習いました。包丁が思ったより長くて、普段使っているものとは違ったので、それを扱うのは難しかったです」

--以前は学生役がほとんどだったのが、昨年あたりから職業を持つ女性の役柄が増えてきたと、前回のインタビューでもありましたが、今回もキュンキュンの恋愛ものでありながら、職業ものの一面もありますね。

「そうですね。『フェルマーの料理』(2023年)のときは給仕する側で、次は料理人のほうに行きたいなと思っていたので、それが今回叶って嬉しいです」

--今後やってみたい職業などはありますか? 前回のインタビューでは警察官役をやってみたいという話もありましたが。

「OLさん。オフィスで働く役はやったことがないので。ほかにも未経験の職業の役柄をやって、今はどんどん吸収していきたいなと思います。スーツを着る役柄もあまりないので、着てみたいなと思います」

--今回若旦那さんを“推す”役柄ですが、もともとアイドル活動(X21)もやっていて推される側だった井頭さん。推される気持ちはわかる?

「応援してくださる方の声だったり、今でもSNSだったりで応援メッセージをいただけると自分が頑張れる糧になるので、すごくありがたく、(推してくれるファンは)自分の心の支えになっている存在だなと思います」

--今回は旦那さまから甘やかされまくる役柄、ご自身は甘やかされたい? 甘やかしたい?

「甘やかされたいです(笑)。“なんでもいいよ”って言ってほしいです(笑)」

--……となると雪斗は理想の旦那?

「ちっちゃなことまで気づいてくれるし、大好きだからこそよく見てるなと思ったので、いいなと思いました」

--雪斗のその思いが高じて、束縛に繋がったり……?

「束縛したいけどできないという葛藤が描かれていて、それが物語の中でも大きな起点となってストーリーが進んでいくので、ぜひその雪斗の嫉妬にも注目していただきたいです」

--今後もラブストーリーはまたやってみたいですか?

「これまでのドラマとは一味違った間の取り方だったり、見せ方をどう気をつけるとか、いろんなことを考えなければいけないので難しかったですが、何よりお芝居することが楽しかったので、ぜひ機会があればまた挑戦したいなと思います。今回とはまた違った、恋愛の形もやってみたくなりました」

--それ以外で今後やってみたい役柄は?

「今までわりと“陽”な役が多かったので、“陰”な、何かを抱えているものがあるような、一筋縄でいかない役柄だったり、サスペンス作品もやってみたいなと思います」

--今後挑戦してみたいジャンルはありますか?

「舞台でいえばストレートプレイはやったことがないので……」

--ミュージカルでは『るろうに剣心 京都編』が2年前にありましたね。

「はい。舞台自体もまだその一回しかないので、挑戦したいなと思います」

--そういえば先日主演されたラジオドラマ『NHK FMシアター「貧乏神と福娘」』もよかったですね。

「すごく好きなんです、。ラジオドラマは。、声だけの表現なので、その背景が見えるようなお芝居の方法だったり、普段の演出より細かかったりして、それが映像のお芝居をやるときにもすごく生かされることが多いので、ラジオドラマは今後もやらせていただければと思います」

--ラジオドラマならではの要求されるものって?

「声だけでどういう感情かというのが、映像だと表情や目線の動きなどで、たとえば“この人は本当は違うことを思っているんだろうな”とか心の内がわかると思うんですけど、いかにその息一つでどういうふうに思っているのか、ちょっとした言葉のニュアンスだったりもすごく気をつけて演じるといいますか、逆にすごく鮮明に聞こえるからこそ、言葉一つ一つが大事で、このセリフの中でどこを伝えたいのか、というのを明確にしていかないといけないので、すごくお芝居の上でも勉強になることが多いです」

--映像の芝居だと雰囲気で押し切れることも、ラジオドラマだと……。

「そこはごまかしが効かないので。ラジオドラマって本当に面白いので、たくさんの方に聞いてもらいたいと思います」

--井頭さんは声が魅力的で、聴いていて癒されます。関西弁の素のトークも面白いし、ラジオドラマだけでなく、パーソナリティーもやってほしいですね。

「そうですね。やってみたいです!」

--楽しみにしてます!

〈プロフィール〉

井頭愛海(いがしらまなみ)

2001年3月15日生まれ、大阪府出身。2012年『第13回全日本国民的美少女コンテスト』で審査員特別賞を受賞したことをきっかけにデビュー。2017年NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインの娘役を演じて注目される。以降、映画『鬼ガール!!』(主演)、『メイヘムガールズ』、ドラマ『さくらの親子丼2』(東海テレビ/フジテレビ系)、ミュージカル『るろうに剣心 京都編』などに出演。

ドラマ特区『過保護な若旦那様の甘やかし婚』は大阪・MBSで放送中。このほか関東ではTVK、千葉テレビなどで放送。

ヘアメイク/高橋有紀 スタイリスト/加藤沙季 衣装協力/Bibiy. Reflection  warmth

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