舞台『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』が1日、東京・博品館劇場で開幕。その前日の先月30日にはゲネプロが報道陣に公開された。ゲネプロ後には取材会が行われ、松本岳、伊達花彩(いぎなり東北産)、関根優那ら主要キャストが登壇した。
原作は葵遼太氏が初めてオリジナルで書き下ろし、2020 年に発表した同名小説。鮮烈なタイトルが話題となり、発売当初から多くの書店員に支持され続けている本作を、俳優、構成作家・脚本家として活動中の開沼豊氏が、脚本・演出を担当し舞台化。大切な恋人を失い、悲しみを抱えたまま高校3年生をやり直す主人公・晃が、痛みを抱えつつも、個性的な仲間たちに支えられ、文化祭でバンドを組むことになる。
インパクトのあるタイトルとは裏腹に、大切な恋人を失った10代少年の、心が締めつけられるようなせつない気持ちや、特に近くで彼と共に過ごす3人の仲間たちの個性的なキャラクターがしっかりと描かれ、その登場人物をキャストたちがみずみずしく、ナチュラルに演じている。また主人公や3人の仲間、亡くなった恋人、その友人……登場人物たちの、人を思いやる言葉や行動が観る人に温かい気持ちをもたらす。
取材会で見どころを問われると、主人公・晃役の松本岳さんは「各々のキャラクターが立っている舞台だなと思っていて、一人一人のセリフが人を思いやって言ってるセリフがほとんどで、その気遣いをもって受け取ったり発したりして、そういう言葉を大事にしている舞台だなと思います。もちろん見どころとしてバンドの生演奏もありますし、また人の生死に関わっている舞台なのでそこはすごく繊細に演じていきたいと思っています。いい座組みなので、このまま駆け抜けていけたらなと思います」と語った。
「言葉一つ一つに救われる部分がある作品だと思います」と語るのは、吃音があるものの美しい歌声を披露する御堂役を演じる伊達花彩さん(いぎなり東北産)。今回が舞台初出演という彼女は、この日のゲネプロでも終始緊張して、楽屋近辺をウロウロしたり、ほかのキャストたちに「緊張してますか?」と聞いて回っていたことを暴露されていた。
晃に最初に声をかける、いまどきJK・白波瀬役の関根さんは「個性的で愛すべきキャラクターがたくさん出てくるお話で、主人公の晃がどうみんなに関わっていって、成長だったり、変化していくかというところが、観ている方が一番感情移入できるところかなと思います。また、青春時代のはかなさやあの時代だからこその楽しさを感じられるので、観ていただく方も青春時代を思い出していただけるような部分もあると思います。私たちもこの気持ちを大切にしながら最後まで演じていきたいと思います」と思いを語った。
見どころの一つであるバンド演奏については、バンドメンバー5人が事前に個別に練習してきてそれを集まって合わせるという形だったというが、バンド練習で集まったときが“はじめまして”だったそう。関根さんは「一回目の練習のとき、(ドラム担当の輝山)立くんがスティックを飛ばしてしまい、あれで和めました(笑)」とエピソードを明かした。
最後に松本さんは「観ていただいた方に何かを感じ取って帰ってもらえれば。“ああよかったな”と思ったり、“こういうときあったよな”と思い出していただける、そういうものを僕たちの舞台を観て感じていただけたらと思います」とメッセージを送った。
なお取材会には輝山立さん、佐倉花怜さん、中川紅葉さん、吉田知央さんも登壇した。
舞台『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』は7月10日(日)まで東京・博品館劇場で上演中。
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