女優の當真あみが15日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた映画『雪風 YUKIKAZE』の初日舞台挨拶に、主演の竹野内豊らと登壇した。
舞台挨拶には當真さんのほか、竹野内豊さん、玉木宏さん、奥平大兼さん、田中麗奈さん、中井貴一さん、脚本の長谷川康夫さん、山田敏久監督が出席。同日より全国公開された本作についてのエピソードや、作品に込めた平和への願いを語った。
映画は、太平洋戦争の数々の激戦を戦い抜き、ほぼ無傷で終戦を迎えた駆-逐艦「雪風」の史実を背景に、激動の時代を生きた人々の姿を壮大なスケールで描く物語。竹野内さん演じる冷静沈着な艦長・寺澤一利や、奥平さん演じる若き水雷員・井上壮太の成長などが描かれ、戦争の過酷な状況下で希望を失わずに生きる人々の姿を通して、平和の大切さを問いかける。
當真さんは、玉木さん演じる先任伍長・早瀬幸平の妹で、兄が乗る雪風の無事を祈りながら自身も国のために働く女性、早瀬サチ役を演じている。
當真さんは、兄の帰りを待つ妹を演じた心境について、「今はスマートフォンですぐに声が聞けるし、顔も見れる。でも当時は手紙を送ってもすぐに返事が来るわけではなく、不安な気持ちを抱えていたと思う」と、現代とのギャップを感じながら役と向き合ったことを明かした。続けて、「家族や友達と普通にご飯を食べたり笑い合ったりすることが、どれだけ幸せなことか改めて感じました」と語った。
また、撮影では兄役の玉木さんと共演シーンがなく、この日が初対面だったという驚きのエピソードも披露。「やっとお兄様に会えました」と笑顔を見せると、玉木さんも「会えなかったですね」と応じ、会場を和ませた。
主演の竹野内さんは、終戦記念日の公開に「ようやく初日を迎えられ感慨深い。戦争の記憶が風化していく中で、このタイミングで作品を送り出せることに大きな意味を感じています」と力強く挨拶。自身が演じた寺澤艦長については、「『助け船』という言葉の本当の意味を、この作品を通して感じることができました」と語った。
大日本帝国海軍・第二艦隊司令長官の伊藤整一役を演じた中井さんは、1981年のデビュー作『連合艦隊』では少尉だったことに触れ、「45年かけて司令長官まで上り詰めました」とユーモアで会場を沸かせた。その上で、「世界が平和になるまで、本当の終戦にはなっていない。皆で努力していきたい」と平和への強いメッセージを投げかけた。
最後に竹野内さんは、「この映画が、見てくださった方々の記憶に深く刻まれ、語り継がれていく作品になることを願っています」と述べ、舞台挨拶を締めくくった。イベント冒頭には、登壇者と観客全員で先の大戦の戦没者に対し黙祷が捧げられた。
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