たんこぶちんのニューシングルは自身初出演映画『二度めの夏、二度と会えない君』劇中歌 「演技を経験したことで作詞の手法が広がりました」~MADOKAインタビューVol.1~

アーティスト 音楽
たんこぶちん MADOKA
たんこぶちん MADOKA

5人組ガールズバンド「たんこぶちん」がニューシングル『遠距離恋愛爆撃ミサイル』を2月8日にリリース。この曲は、ボーカルのMADOKAさんが“吉田円佳”名義でヒロインとして出演する『二度めの夏、二度と会えない君』(2017年秋公開、通称“ニドナツ”)の劇中歌となっている。今回MADOKAさんが、1年ぶりのリリースとなった本作への思い、初出演した映画撮影での経験について語った。

--『遠距離恋愛爆撃ミサイル』はこれまでのたんこぶちんの曲のなかでも特にロック色が強い、インパクトのある楽曲ですね。

「はい。タイトルからしてかなりパンチが効いてます!」

--たんこぶちんってデビューしたころから曲のタイトルにはインパクトがあるものが多いですよね。

「確かに。『シアワセタランチュラ』(2013年)とか(笑)」

--それに比べても“何じゃこりゃ?”感が…。

「アップしましたね(笑)」

--ライブでも盛り上がりナンバーで、特に対バンなど短時間のライブではマストの曲になりそうな。

「かなりロックな感じで、キラーチューン的な存在になればいいなと思います」

--シングルはかなり久しぶり?

「そうなんですよ。その『シアワセタランチュラ』以来なんですよ」

--この2年くらいはミニアルバムのリリースが続き、リード曲のミュージックビデオも公開されていたので、そんなに空いているイメージはありませんね。シングルについての特別な思い入れってありますか?

「シングルだから、ということではなく、リリースをできることがどんな形でも嬉しいです。前作のミニアルバム(『TANCOBUCHIN vol.4』)から1年ぶりなので、リリースがあることでこうやってまたたくさんの人に私たちの音楽を聴いてもらえる機会が増えてうれしいです」

--この曲は映画『二度めの夏、二度と会えない君』の劇中歌になっていますが、劇中ではこの曲を使って演技をしていたのですか?

「はい。この曲のレコーディングをした後に映画の撮影に入りました。原作にもタイトルが登場する曲で、この曲以外でも、原作で出てくる曲はどれもタイトルがすごくて、特に『遠距離恋愛爆撃ミサイル』がなかなかすごいなと思ったので、どんな曲が当てはまるんだろうとすごくワクワクしていたんですね。それでこの曲を聴かせてもらって、すごくぴったりだと思いました! 今回シングルでは私たち5人で演奏したバージョン以外にも、“Movie Version”といって、3ピースバンド + ボーカルという、すごくシンプルなバージョンも収録されているので、聴き比べてもらえれば楽しいかなと思います」

--演奏するシーンも楽しみですね。

「はい。私が演じる燐ちゃんと、村上虹郎くん演じる智くんが、初めてセッションした曲として出てくるのが最初なんですけど、二人のシーンではギターと私の歌だけで演奏しました」

--他の曲も使われるんですか?

「今回劇中歌はすべてたんこぶちんが担当しました」

--MADOKAさんはこの映画が演技初体験なんですよね?

「はい。『花火』(2015年)のミュージックビデオを映画のプロデューサーさんが観てくださったのが、声をかけていただいたきっかけだったんです」

--『花火』のMVではMADOKAさんが表情の演技で、夏の終わりのせつない雰囲気を見事に表現されていました。でも、特にセリフを言っていたわけではなかったし、自身も演技の経験があったわけじゃないと思いますが、お話をもらった時にはどんな気持ちでしたか?

「素直に嬉しいという気持ちと驚きが入り混じった感じでした。メンバー含め周りの人みんな驚いていたと思うんですけど、私が多分一番びっくりしていました(笑)」

--しかもヒロイン。すごいチャレンジになりました。演技経験のない人がレッスンなどで芝居をやると、最初戸惑いはかなり大きいと思います。

「はい。でもごちゃごちゃ考えずにやりたかったです。演技レッスンでは脚本家の方に直接指導していただいて鍛えられました。発声や滑舌の練習として早口言葉を大声で叫んだり…」

--撮影はどんなスケジュールで?

「2週間くらいで集中して撮影しました。毎朝4時起きでつらかったですね。普段、4時寝とかするヤツが4時起きになって(笑)」

--曲を作っていたりすると、気付けば4時、5時になることもありますよね?

「もう、しょっちゅうです(笑)。今まで寝ていた時間に起きるということで、最初は大変でした」

--撮影は楽しかった?

「はい。楽しかったです!いろんな人のおかげで。メンバーも支えてくれて。私が起きなければならない時間にLINEをくれたりだとか。そういうちょっとしたことも心の支えになっていました。共演者やスタッフの方は、普通に音楽だけやっていると出会わなかった人たちなので、そういう人たちと2週間一緒にいていろんな刺激を受けました」

--音楽活動で出会う人たちとは違う考え方や価値観に触れられたり?

「はい、音楽だけじゃ得られないものも多く得られました。映画の撮影が終わったあとも、みんなそれぞれいろんなところで活躍している姿を観てすごく刺激を受けます」

--今後音楽を作っていく上でも得られたものもあるかもしれない?

「今回の演技を経験したことで、こういうこともやれるなと思ったのが、シングルのカップリングに収録されている『君に会えてよかった』という曲で、この曲は、映画の話をいただいて、原作を読んだあとにすぐに作った曲なんですが、自分の等身大の話ではなくて、(役柄の)燐ちゃんの気持ちになって作りました。新しいアプローチになってよかったなと思います」

--以前、自分で詞を書くときは、自分が実際に経験したことや考えたことしか言葉にできないと話していましたが…。

「はい。今回は物語から何かを得て、そこに入り込んで作るという手法で。自分自身とても気に入っている一曲です」

--ラブソングでありながら、仲間愛の要素も入っていたり。

「一緒に音楽をやってくれた仲間への感謝だったりとか、言えなかったことだったりとか、自分なりに解釈して書いてみました」

--もしかしたらいいタイミングだったのかも。自分の経験だけだといずれ引き出しの中が薄くなってくることもあるかもしれない。そういう意味では、自分の経験以外から物語を作り出すという作業によって、詞のバリエーションも広がるのかなと。

「はい、すごくいいタイミングでできたと思います」

--今後もこういう形で、物語から着想を得て作ったり、違うアプローチも出てくるかもしれない?

「できるようになりたいですね。リアルな経験だけじゃ足りないのかなと感じることもあって。同時に、どんどんいろんなところに行ったり、今回映画で繋がりができたのでいろんな人に会ったりだとかする中で新しいことを発見できたらなと思って、それを音楽に反映できればいいなと思っています」

--作曲の面でも、曲を作っていく中で自分のカラー、これが「吉田円佳」色というものを確立できてきたような手応えは?

「今回映画があってシングルを出させていただくことになったんですけど、ここまでの1年間は5人でずっと曲を作っていました。詞は私が書くんですけど、曲の構成だったりアレンジを5人だけでやっていました。私たちはデビューしてから作家さんに曲を書いていただくことが多くて、でも『それだけではダメだな、5人の色を音楽の中で出さないと、それで勝負できるようになりたいね』と話していて。それはこれからも続けて、『たんこぶちん』色の音楽を、これから出していければいいなと思います」

--「吉田円佳」色ではなく「たんこぶちん」色、そこがポイントなのかもしれませんね…。

(Vol.2に続く)

たんこぶちんのニューシングル『遠距離恋愛爆撃ミサイル』は2月8日発売。シングルのTYPE-Bには昨年渋谷CLUB QUATTROで開催された10代最後のワンマンライブ、TYPE-Cには渋谷TSUTAYA O-WESTで行われた20代最初のワンマンライブの模様が収録(約50分)のDVDが同封。

〈プロフィール〉
MADOKA (Vo.&Gt) 1996年3月24日生まれ、佐賀県出身。他のメンバーは、YURI(Gt.)、NODOKA(Ba.)、HONOKA(Dr.)、CHIHARU(Key.)。小学校6年生の時に結成。2月で結成10周年を迎えた。ヤマハ主催のオーディション『Music Revolution』で優秀賞を受賞したことをきっかけに、2013年にメジャーデビュー。3月20日(月・祝)には、渋谷egg-manにて『たんこぶちん結成10周年企画ライブ ~たんこぶちん vs がんばれ!Victory 唐津っ子のお祭りばい!~』を開催。