【高柳明音インタビュー】歌手活動を本格再始動 1stシングルは大切な存在“ラジオ”がテーマに「こんな未来になると思ってなかったのでびっくり!」
元SKE48の人気メンバーで、卒業後は女優、タレントなど幅広く活躍する高柳明音さんが、今月6日、1stシングル『O.A.!! Summer Tune☆』(読み:オンエア!サマーチューン☆)をリリース、歌手活動を本格再始動した。この楽曲をはじめ音楽活動について、そしてこの曲のテーマにもなっている“ラジオ”への思いについて、たっぷり語った。
--いよいよ1stシングルが発売されました。今の思いはいかがですか?
「前作(昨年ミュージックカードとして発売された『星、流れる夜に君を想う』)はソロライブがあって、そこで『一曲オリジナル曲を作りました』という披露の仕方だったんですけど、今回は前もって『今年は音楽をやります。曲を作ります』と3月に発表して、その後『夏にシングルを出します』と告知して、いざ夏を迎え曲を発表して、と。なんだか不思議な感じです。自分の中でもこんな未来になると思ってなかったので。ちょっとびっくりで(笑)」
--前作はプレデビューシングルという位置付けでいいんですか?
「あくまでソロライブで披露するために作った楽曲で、そのあとでミュージックカードで発売にはなったのですが、デビューシングルとは言ってなくて、プロローグ0thシングルという形にさせていただきました。今回のシングルを1stとしてやらせていただいています」
--グループを卒業したときには、こういう本格的に歌手活動をやるイメージはなかった?
「ファンクラブのイベントでライブをやったり、歌ったりできたらいいなという思いはありました。歌の活動をゼロにしようとは思ってなくて、好きだし、でもまさか曲を出して、音楽活動が自分の中で軸になっていくというのは想像していなかったです。またライブをしたいなというのは、前回ソロライブをやったときに思っていて、もしソロライブがまたできるとしたら、自分のオリジナル曲を増やしてやりたいです、というのは言ってたので、思っていた通りにはなってきたかなと思います」
--『O.A.!! Summer Tune☆』は高柳さん自身で作詞を手掛けていますが、最初から自分で作詞をする前提で?
「そうです。デモ音源を聴くのが私だったので、歌詞がこれに乗るかというよりは、インパクトがある曲を選んだという感じでした」
--キャッチーで初めて聴いたときから耳に飛び込んでくるイメージですね。
「そうですね。メロディラインが結構複雑で、耳に残った、ということで選んだんですけど、歌っててめっちゃ難しくて、道理で耳に残ったなと(笑)」
--ライブで盛り上がりそうな楽曲です。
「クラップができる曲になっているので、みんなが一緒に盛り上がってくれたらいいなと思います」
--作詞のイメージは最初から決まっていた? それともこの曲を聴いてからラジオを着想した?
「最初からラジオをテーマにした曲と決めていました。デモ音源を募集するときから、テーマが『夏』『ラジオ」とお伝えした上で作ってもらったので、歌詞は曲が来てから書き始めたけど、キーワードや入れたい言葉は書き出していました」
--やっぱりラジオって高柳さんの活動の中で大きなもの?
「はい。影響が大きいかなと思います」
--『高柳明音の生まれてこの方』(ラジオ日本)は特に長く続いています。
「今年で10年で、その感謝の気持ちも込めて、この曲を作ったのもあると思います」
--高柳さんにとってラジオの楽しさって?
「飾らないでいられるところかも。あと言葉だけのやり取りで、リスナーさんからのメールがあって成り立つ番組なので、自分が話すのも楽しいし、みんながいてくれて成り立ってるな、支えてもらってるなという感覚がすごくあります」
--『生まれてこの方』では近況のフリートークだけでなく、ネタ投稿コーナーも充実していますね。
「大喜利とか謎かけとか、みんながメール送ってくれなかったら成り立たないコーナーがめっちゃあります。番組の企画で毎回何ポイントとか付けていて、ポイントが貯まったらプレゼントがもらえるんですが、私が自腹で買ってきたものにサインをして送るとか、結構距離感は近いんじゃないかなと思います。公開収録も定期的にやっていて、今年も8月にやります」
--イベントに来てくれて、『この人はラジオネーム◯◯さんだ』と初めて知ったり、そういうのも醍醐味なのかも。
「そうですね、相手の顔を知らないというのもあるし、ラジオから好きになってくれて握手会やお渡し会に来てくれたという人もいますし、『ラジオネーム◯◯です』って言われて、『えっ!?』ってこっちが有名人に会った気持ちになるというか(笑)、“いつも読んでるあの人!?”みたいな。“えっ、男性だったの!?”とか想像していた性別と違ったり、“若ぁー!”って、思ってたより全然年下だったり、そういうのは結構あります。毎回巧みなメールを送ってくるから、ベテランのおじさんかなと思ったら、めっちゃ若いお兄さんとか(笑)、意外な出会いがあります」
--AMラジオって一時期“絶滅危惧種”のように言われていたけど、唯一無二のコミュニケーションがあるメディアとしてなくならない。リスナーとより濃密なコミュニケーション、パーソナリティをより身近に知られるという。radikoが登場して、むしろ、より盛り上がっている気もします。
「ラジオっていろんな方がやっているじゃないですか。テレビで観ているときと印象が違う気がして、いい意味で、テレビとは違うラジオならではの良さってあるなと思います」
--芸人さんでもネタをやっているときとも、テレビ番組でMCをやっているときとも……、
「違いますよね。それがすごくラジオの面白いところで、きっと芸人さん自身もテレビに出ているときと、テンションが違うというか、それがすごく素敵だなと思います。私もお芝居などをしているときは自分であって自分じゃない。ラジオの場合は100%私で、最近起こったリアルなエピソードを一番話している場所だなと思って、10年続けていても、年々どんどんラジオに対する向き合い方はいい意味で変わってきたなと思います。支えられてきたなと思いますし、コロナ禍でどの仕事もできなくなったときに、ラジオだけは家で収録させてもらったり……」
--家で?
「はい。実家で録ってました(笑)。なので、その時代を経て、この番組はなくならせたくないという思いはあります」
--コロナ禍にも強かった。
「はい。ラジオって、コロナ禍でも続いていましたよね。テレビ番組ってどうしても出演者の数を絞ってやったりだとか。その点ラジオはリスナーにとってはおんなじ距離感でいられたのは大きかったかなと思います」
--今回の新曲では、そんな高柳さんのラジオへの思いを一番が……、
「パーソナリティ目線で、二番がリスナー目線で描きました。一番は私の想像した架空のパーソナリティがいて、“僕はシロイルカ”というリスナーさんがいる形なんですけど、私がこの曲を夏っぽい曲にしたいというところから生み出されたキャラクターで、こういうメールを送ってくれたら夏らしい曲を紹介できるなという逆算から生まれて、そのリスナーが一番はラジオネームで登場して二番は登場人物として描けたらなと思って、それが形になったかなと思います」
--タイトルもご自身で?
「はい。『O.A.!! Summer Tune☆』というのは、さらっと出てきました」
--タイトルありきで、それとも詞ができてからつけた?
「詞からです。夏であり、ラジオであり、というのを表すのに、“O.A.”って付くだけで一気にラジオ感が出るし、“Summer Tune”ということで夏曲だというのが一番わかりやすいなって」
--初めてファンの前で披露するのは?
「『生まれてこの方』の公開収録が8月31日にあるので、そこが最初になるかもしれないです。公開収録で歌えるのはいいですね、そのために作ったというのもあるので。まずはそういう場所で歌えるのは嬉しいなと思います」
--今後もコンスタントに音楽活動を?
「定期的に曲を出して、ライブもまたできたらいいねという話はしています。私のマネージャーさんがもともとエイベックスの楽曲が大好きな人で、楽曲制作に携わりたいという希望があったみたいで、でも女優さんの担当をすることが多かったから音楽制作に関わることはなかったけど、私が昨年ソロライブをやったり、これからオリジナル曲を出していくという話になって、すごく楽しそうでよかったです(笑)」
--自分自身はもちろん、マネージャーさんのやる気も刺激しちゃった。
「はい。ノリノリでやってくれているので、よかったなと思います(笑)。でも私もマネージャーさんも初心者なので、今までグループでやっているときは“次はこういう曲をやります”“ミュージックビデオはこういう内容です”と全部決められていたものに従っていたんですけど、今は自分がこういうジャケットにしたいですとか……」
--楽曲の内容だけでなく、ビジュアルなどもトータルに?
「そうです。マネージャーさんと一緒に考えて決めているので、本当に二人三脚、音楽プロデューサーさんも含めて三人四脚で頑張っています」
--グループ時代や、女優活動中心の時代より、普段からさらに音楽を意識して聴くようになった?
「自分でもちょっと嫌だなと思うのは、歌詞の作り方を意識して聴くようになって、“これ歌詞が先なのかな曲が先なのかな”とか、“この曲にどうやったらこの言葉を収められたんだろう”とか思っちゃうようになりました。曲の構成とか考えるようになったり」
--ちょっと職業病のような(笑)。
「そうなんですよ。純粋に曲を楽しみたいのに、そんなことをばっかり考えるとうになりました(笑)」
--でも一歩引いて客観的に見れば、そんな自分も楽しい?
「確かに。“あ、この考え活かせるかも”とか。今舞台の稽古もやっているんですけど、やっぱりお芝居をやられている方って、発する言葉が面白かったりするんですよ。何気ない会話の中で出る言葉が面白くて、“あ、その言葉いただきます”と思いながら、メモしたりしています」
--ちょっと文学的だったり。
「そうです、そうです。いろんなセリフとか本とか読まれている方なんだろうなとか。“ああ、そうやってたとえるんだ”とか。今度9月の舞台(『ダイアナ~ それぞれのダイアナ~』)は三人芝居なんですけど、ご一緒させていただくお二人が本当にお芝居に命をかけておられるような方で、そのお二人と会話していると面白くて。40代の方で、今回私が一番下なので、ベテランの方と共演すると自分が伸びるなと思えて、勉強させてもらっているなと思います」
--自分以外全員が若手キャストという作品もありましたが、それはそれで自分が引っ張っていかなければという責任感で伸びる要素もありますが。
「そうですね。でも、どちらかというとまだ学びたいので(笑)、学ばせてもらっているほうが楽しいなというのはあります。お芝居は三角関係ではないですけど、三人の会話劇で面白いので……。今回の曲でも、今年の6月にやった舞台(『午前0時のラジオ局-満月のSAGA-』)がラジオを扱った作品だったので、その中で私がパーソナリティの役として言ってたセリフでいいなと思っていた言葉が、実は今回の『O.A.!! Summer Tune☆』でもちょっと入ってたりして」
--それはどの部分?
「英語になっているんですけど、“Sharing hearts together with radio‼”というのは、私が舞台で演じた清水アンジェリカちゃんというパーソナリティが、“ラジオは心と心を繋ぐものだからね”というセリフがあって、私もそう思ってたし、ラジオってやっぱり顔が見えない分、言葉と心で繋がっているなとすごく思っていたから、そのフレーズを入れました」
--舞台『ダイアナ~ それぞれのダイアナ~』ははどんな内容に?
「キャスト3人による会話劇で面白いです。私たち3人だけでなく、一つの作品の中で3人1組のチームが全部で4チーム出てくるんです」
--一つの作品の中でそれぞれのパートがある、オムニバスのような……。
「そうですね。でもオムニバスというよりは、登場人物はどのパートもそれぞれ同じなんですけど、一つのピースが変わるとこんなに話が変わっていくよ、みたいな。登場人物も大まかなストーリーも同じで、だけどオチが違うみたいな感じでできている作品です」
--いわゆるオムニバスではなく、全チーム同じ登場人物なんだけど、設定や関係性が少しずつ微妙に変わっているみたいな。
「そうです。展開が一つのことをきっかけに変わっていく。各チームおんなじ役の人がいるのに、その役の年齢が違ったり。私たちのチームは40代の男性が二人で私が年下、別の組は全員が同世代、また別の組は男の子が年下で、お姉さんとの組み合わせ、という感じで……。役柄の職業は違ったりするんですけど、男性同士は全ての組が全組幼馴染。で、片方が元カレで片方が今カレというのは全組共通しています。一緒のところも多いけど、ちょっとずつ違うみたいな設定になっています。みんな母校の体育館で会ってるという設定は同じです」
--体育館を舞台にした会話劇?
「はい。会場が横浜の赤レンガ倉庫で、その場所が体育館っぽくて、じゃあ体育館で再会するという設定にしようとなったそうです。『ダイアナ』という作品は長年受け継がれてきている作品で、それを私の組がやるんですけど、『それぞれのダイアナ』とタイトルにあるように、ほかの3組の『ダイアナ』はオリジナルストーリーになっています。それぞれにとってのダイアナが何か、というのが変わっている、という」
--最近は歌手活動に特に意欲的ですが、女優活動も同じ比重の2本柱で?
「そうですね。2本柱といえるように頑張りたいなと思います。やっぱりお芝居は好きだし、目標の一つとしては、自分がメインを務める作品が出たときにその主題歌とか挿入歌を書いて歌えたらいいなと思っています!」
〈プロフィール〉
高柳明音(たかやなぎ あかね)
1991年11月29日生まれ、愛知県出身。2009年SKE48のメンバーとしてデビュー。2021年4月にグループを卒業。卒業後は女優活動を中心に、持ち前のトーク力で、バラエティやラジオパーソナリティーなどマルチに活動。近年の主な出演作は、ドラマ『推しが上司になりまして』(テレビ東京)、『高杉さん家のおべんとう』(中京・日本テレビ)、舞台「タクフェス『晩餐』」ヒロイン、舞台『午前0時のラジオ局-満月のSAGA-』など。高柳明音3rd写真集『あかねのそら』が現在発売中。同写真集の発売記念イベント時に、「今年は歌を頑張る一年にしたい」と宣言。改めて歌手活動を本格的にスタートさせた。大の鳥好きとしても知られ、鳥関連の仕事も多い。
『O.A.!! Summer Tune☆』は配信とミュージックカードで発売中。
舞台『ダイアナ~ それぞれのダイアナ~』は9月3日(水)~15日(月・祝)、横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで上演。
詳細は高柳明音公式HPにて。
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