【中井友望 インタビュー】「主演映画をまた撮りたい。それは明確に今やりたいこと。『サーチライト-遊星散歩-』の頃とは私自身変わっているだろうし」

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中井友望   映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』より
中井友望   映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』より

★映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』に出演中

女優の中井友望さんが、今月9日に公開された映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』に出演している。本作での役への取り組み、また直近の出演作品でのエピソードや自身の成長について語ってくれた。

櫻坂46・藤吉夏鈴さんが映画初出演にして初主演に抜擢された本作。舞台となる私立櫻葉学園高校新聞部にて、主人公の“トロッ子”こと新米の新聞部記者・結衣が、部長のかさね(髙石あかり)とともに学内の事件や不正に忖度なしに切り込んでいく姿を描く。中井さんは二人を支える新聞部の副部長・恩田春菜役を演じている。

--今回の作品、最初にどんな印象を持ちましたか?

「最初に台本を読んだときから、すごく勢いがある、なんか“The学生もののエンタメ”だなと思って。映画になる図が浮かんだというか……」

--そんな作品の中で演じた春菜はどんな人物像だと思いましたか?

「キャラクター的に一番普通の女の子。ほかの登場人物のキャラクターが際立っていたりするので(笑)。でも普通なんだけど、途中で見ているお客さんに“あれ!?”って思わせるような振る舞いがあったりだとか、その辺りをうまく存在できればなと思いました」

--途中、味方なのか?敵なのか?と思わせるシーンも。

「どれくらい、“あれ!?”っていう要素を散りばめていくか、表情などの見せ方で、“ここでこういう春菜の部分が見れたらいいよね”というようなことを監督と話をしながら撮影に臨んでいました」

--そういう役はやってて楽しかったのかも。

「楽しかったです。春菜は、態度が豹変するというより、最初から自分の中でちゃんと意図があって、(あれ!?と思わせるような)動きをしているという感じだったので、賢い振る舞いというか……。そういう役は初めてだったので、一つ一つの場面での見え方を気にしながら演じていました」

--今回の作品では、学園の悪に立ち向かうというテーマはあるものの、青春のキラキラ感もある。以前のインタビューで、青春キラキラ的な作品はあまり得意ではないという話もありましたが……。

「そうだったと思います。だから、今回出来上がった作品の雰囲気とか、こういう作品の中に自分がいるんだというイメージが今まであまりなかったなと思います。でもすごく嬉しいです」

--自分が思うよりも、青春作品にハマっていると思います。

「そうですか? そう思ってもらえるなら嬉しいです。実際に撮影も楽しかったですし」

--共演者では、部長のかさね役の髙石あかりさんは『ベイビーわるきゅーれ』シリーズでの共演がありますが、ほかの方は初共演?

「そうですね、はじめましての方たちでした。でも髙石さんと同じシーンが一番多くて。髙石さんとは3回目なので、すごく楽しく、キャラクターは違えど、掛け合いを楽しくやれたなと思います」

--春菜って一番普通の女の子で、キャラが際立ってないからこその難しさもあった?

「そうですね」

--たとえば、かさねとのこれまでの関係性や、新たに加入した結衣に対する感じ方も詳しく描かれているわけではない。

「本当は普段どういう子なんだろうと、自分でも考えていました」

--本作に限らず、役をもらったときに、役柄の、台本にはない部分についてもじっくり考えるほう?

「考えたりするようになりました。それまで考えてなかったのはなぜなんだろうと思いますけど(笑)。主人公だと、本の中にヒントがいっぱいあるから、自分でいろいろと考えるよりも、“こういう子なんだ”ってイメージしやすいんですけど、今回の春菜のような役ってヒントが少ないので、その中から役を自分の中で作り上げる作業というのは難しかったです」

--本作では完成披露試写会などのイベントも行われていましたが、中井さんは当初はそういう場はあまり得意ではないように言ってましたね。

「でもだいぶ慣れてきました。最初にそういうイベントで舞台に立ったときから比べると。7月に行われた舞台挨拶で、主演の藤吉さんはこういう映画の完成披露イベントは初めてということで、すごく緊張していて、それを“ああ、緊張してて可愛いな”と思って見れるようになった自分がいて(笑)」

--ちょっと客観的に見れるようになった自分もいて。成長ですね(笑)。

「成長だと思います(笑)」

--昨秋公開の主演映画『サーチライト-遊星散歩-』では、上映期間が終わっても、特別上映的に映画館で行われたイベントで舞台挨拶をする機会も何度かありましたね。

「結構それで場数を重ねましたし、規模感も『サーチライト」』のように小劇場でお客さんの顔を見れて喋ることも楽しいと思いますし、“トロッ子”の場合は大きな劇場でお客さんもたくさん入っている中でしたけど、どっちも良さがあるなと思いました」

--楽しめるようになってきたんですね(笑)。そういう部分でも成長がありましたけど、もちろん芝居自体でも『サーチライト』は特に自分の中で大きな存在になったのかも。

「そうですね。『サーチライト』があったからこそ、今の自分の芝居があり、これから先も自分の中の軸としてあると思います」

--今もいろんな作品に出ていたり、これから先も主演作だったり自分の軸となる作品に出合う可能性もあると思いますが、そんな中でも『サーチライト』は自分にとって特別な存在?

「自分の根の部分は『サーチライト』かもしれない」

--中井さんに初めてインタビューさせてもらったときと比べて、女優としても人間としても、しっかりしている印象があります。

「最近学生ものの映画に出演したときに自分が一番年上という機会も増えてきまして(笑)、今24歳なので、それもあってしっかりしなきゃと思うようになったのかもしれないです(笑)」

--共演が多い髙石さんなどお姉さんに見えるけど意外と……、

「そう、あんなに落ち着いているから年上に見えるけど、実は私より3つくらい下なんですよね(笑)」

--ここ1年くらいはさらに出演作や役柄のレパートリーが多彩になっている気がします。

「ドラマの『めぐる未来』(2024年1月〜)では、毎回出演シーンがある連続ドラマを初めて経験できました」

--物語のクライマックスではハードな芝居も見せてくれました。実は真犯人だったという。

「最初お話いただいたとき、“私で大丈夫なのかな?”と思ったくらい、物語の中で大事な役なので、最後のほうの撮影まですごくプレッシャーがありました」

--中井さんってこれまでも感情を爆発させる芝居が結構ありますね。

「ありますね」

--映画『炎上する君』でもクライマックスで感情を爆発させるシーンがありましたが、実はそれがクランクインの芝居だったという話も聞きました。

「そうでしたね(笑)。でも、そういうわかりやすく感情を出すシーンのほうが、なんか気持ちを作りやすくって。わかりやすいですし、観てるほうもわかりやすいじゃないですか」

--『めぐる未来』のクライマックスも入っていきやすかった?

「そうですね」

--むしろ、真実を告白するシーンを迎えるまでに、オフィスでめぐる(早見あかり)や同僚たちといるときにどういう見せ方をするかが難しかったのかも。

「そうです、そうです。そのほうが難しかったですね」

--そして『めぐる未来』ではめずらしく働く女性役でしたね。

「働く女性役は初めてでした。オフィスカジュアルとかスーツの衣装も初めてだったので。嬉しかったです」

--一方で最近の作品だと『ケの日のケケケ』(NHK/2024年3月)では高校生役で、結構年下の現役高校生世代の人たちとの共演でした。

「そうなんです。主演の當真あみちゃんとか……」

--彼女って撮影当時は16歳くらい?

「そうですね、怖くなりますね(笑)」

--それくらい年下だと、人に話しかけるのがあまり得意ではない中井さんといえども、待ち時間などで話すときは自分から話しかけて、場を盛り上げたり?

「楽しいシーンだったらそうしようと思いますけど、當真あみちゃんとのシーンは穏やかなゆったりとした内容だったので、無理にテンション上げたりはしませんでした。世間話くらいで。『今何年生?』とか(笑)」

--それはちょっと当たり障りなさすぎかも(笑)。でも中井さんっぽい気もするけど(笑)。でも以前だと、そういう声がけもしなかったような……。

「そういうコミュニケーションも作品のためには大事だなと思うようになりました。こっちから距離を置いていたら、画面上不自然に映ってしまうかもしれないし。実際の年齢は違っても、同級生らしい雰囲気で話しているように見えないと」

--見た目的にはまだ制服姿はいけますよ。

「ほんとですか?」

--まだ解禁前だと思いますが、今も新しい作品の撮影に入っていると聞きましたが今回も?

「学生役ですね。大学生役ですけど。年齢設定が実年齢より上になることはなかなかないです(笑)」

--若く見えることはいいことだと思います。

「喜んでいいのかな(笑)」

--近いところでは『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』が9月27日に公開されます。

「ちょうど1年前くらい、“トロッ子”が終わったあとに、“ベイビーわるきゅーれ ”の撮影に入りました。その期間ずっと髙石さんと一緒にいた感じですね(笑)」

--『ベイビーわるきゅーれ』は前作から引き続いての宮内茉奈役での出演となります。

「“ベイビー2”ではギャルって言ってたけど、ギャルに憧れてるみたいな。流行りものが好きな今どきの女の子だけど肝は座ってる。“ベイビー”の登場人物の中では一番明るい女の子だと思います」

--前作から自分の中での変化のようなものはありましたか?

「やりやすくなっていましたね。芝居を重ねていくことで、そのキャラクターが自分に定着していくというか……。期間を空けながら、シリーズものでおんなじ役をやれるということってあまりないじゃないですか。だからやっぱり最初の“2”でやったときよりも今作のほうが、なんか馴染んできたなというか、すごくやりやすく、楽しく、より面白いものにできている気がしますし、スタッフさんたちのことも知っている環境で演技をできることに安心感があって、全然緊張もせず、ただ楽しく撮影していましたね。こういうコンスタントに続くシリーズ映画ってあんまりないですよね」

--貴重ですね。

「ほんとラッキーだと思います(笑)。そこに携われて」

--ここ1、2年でさまざまな作品、さまざまな役柄を経験してきましたが、それを踏まえて、ここからやりたいこと、さらに挑戦したいことなどが見えてきていますか?

「『サーチライト』が初主演映画でしたけど、また主演映画を撮りたいです。それは明確に今やりたいことですね。あの頃とは私自身変わっているだろうし、それを経験するとさらにまた変わるだろうし」

--ぶつかる壁の高さ、苦しさ、そしてそれを乗り越えたときの気持ちは、ほかの作品とは違うのかも。

「そうですね。でもとにかく、やっぱり嬉しいです、主演作品って」

--この夏も撮影に忙しそうでしたが、趣味の一人旅に行く時間もなさそう?

「5月に行きました。山形に。自然がいっぱいで、日本酒が美味しくて。山形を訪れたのは、日本酒が美味しいところっていうのがきっかけですかね。都会すぎるところに旅行に行くのがあんまり好きじゃないので、自然が多くてリフレッシュできる場所で、さらに遠すぎないというところで……。でも仕事の関係でパスポートを最近取ったので海外にも行ってみたいです」

--考えているところってある?

「本当はヨーロッパとか行きたいですけど、費用も時間もかかるので、気軽に行けるところで、タイ、ベトナム、台湾とか……」

--まぁ、でも今年の夏は酷暑ですし、お休みがあっても旅行というより、ひとまずは読書でもしながらゆっくりと。

「そうですね(笑)」

--読書好き、小説好きとしても知られる中井さんですが、最近のオススメは?

「今は小説ではないんですけど、“サピエンス全史”(『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』)という本を読んでいます。上下巻があって、人類が生まれてからの歴史について書かれています。日常生活でちっちゃいことに疲れたときに、人間の根源とか壮大なものを読むと、気持ちがラクになります」

--自分の悩みって、人類の歴史の中ではちっぽけなものかもって?

「そうそう。こういう本でヘンな勇気のもらい方をしています(笑)」

--最後に改めて、現在好評公開中の『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』について、見どころをお願いします。

「この作品について、宣伝動画などで“痛快青春エンタテインメント”っていうワードを何度も言わせてもらっているんですけど、本当にその通りで、わかりやすいエンタメほど人に元気を与えるものはないと思っていて、この映画を見たらみんな元気になると思います。最後の結衣のスピーチには心を打たれるものがありますし、“The人の心を元気づけられる映画”ってこれだな!という作品になっていると思います。その中で、わかりやすいだけじゃなくて、ちょっとしたアクセントを与えられる役割の春菜という役を演じさせてもらったので、まっすぐな結衣とかさねとともに、春菜にも注目してもらえたらと思います」

〈プロフィール〉
中井友望
(なかい とも)2000年1月6日生まれ(24歳)、大阪府出身。「ミスi D2019」グランプリ。これまで『かそけきサンカヨウ』、『少女は卒業しない』、『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー 』、『炎上する君』、『サーチライト -遊星散歩-』(主演)、ドラマ『めぐる未来』(読売テレビ、日テレ系)、『ケの日のケケケ』(NHK)など多彩な作品に出演。最新映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』は9月27日公開。ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレビ東京)は9月4日(水)深夜1時放送スタート。

映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』はテアトル新宿、グランドシネマサンシャイン池袋ほかで公開中。
キャスト、ストーリーなどの詳細や公開劇場については下記公式サイトにて
https://torokko-movie.jp/top

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