“カープ女子”としても有名な女優で小説家のうえむらちか(29)が2冊目の小説『灯籠』(ハヤカワ文庫JA)が、2月5日より、東京・池袋「シアターKASSAI」で舞台化。5日~8日までの4日間で7公演を行うが初日を目前に控え、原作者であり、同舞台に出演しているうえむらに、今の心境や見どころなどを聞いた。
「自分の原作が映像・舞台化され、それに出演する」という夢が、まさに叶う目前!いまの気持ちを率直に聴いてみると、「最初にお話を聴いたときには全然想像できなくて、夢を見ているような気持ちでした。本当に実現することが出きて・・・とうとう明日が初日になったんだなと・・・」と、感無量で言葉がなかなか出てこない。
続けてうえむらは、今回、原作者としてだけではなく、方言(広島弁)を指導する立場として、また、ゲスト出演する女優として、毎日、稽古に参加していたが、「自分の作品が形になって作り上げられていくのを間近で見ることが出来て、嬉しいのと同時に不思議な気持ちでした」と、気持ちの変化を語る。
原作の『灯籠』は、うえむらの故郷でもある広島県が舞台になっている。世界観を表すのに、重要なのが方言(広島弁)。主演の灯(ともり)役の女優・飛鳥凛(23)は、大阪府出身。灯に片想いの同級生・清水君役の井之脇海(19)は神奈川県出身。ショーコ役のアイドルグループ『LinQ』高木悠未(17)は福岡県出身。朗読者でショーコの同級生カオル役であるモデル・奥田彩香(17)が大阪在住ということで、「現在、大阪に住んでいる奥田さん、『LinQ』の高木さんは博多と、現場では方言が飛び交っていて、最初の読み合わせの時は、広島弁のニュアンスを上手く伝えられるのか不安でした。」と振り返る。
方言は、言葉もそうだが、発音したときのイントネーションも重要となる。そこで、「テープを作りました。女の子部分は私が録って、男の子部分は広島の役者さんにテープに吹き込んでもらいました。
稽古日数10日間という短い時間で、役者さんたちは方言を覚え、セリフを覚えと、大変だったという。その様子を間近で見ていたうえむらは、「キャラクターが実写化されると、やっぱり原作とはちょっと違うんですよ。でも、それがいいことだなぁと思ったのは、いままで、私ひとりの目線でしか見ていなかった。でも、役者さんが演じると、このキャラクターにはこういう一面があって、こういう風に演るんだ。このキャラクターの新たな魅力を役者さんが切り開いてくれて新しく物語が動き出していくんだなと、うれしかったです」と、新たな発見もあったようだ。
原作の『灯籠』は、1話目が、毎年、両親を交通事故でなくし、広島で孤独に育った少女・灯(ともり)が、お盆の4日間だけ出会う青年・正造との幻想的なラブストーリー。2話目が主人公の灯をそばで見続けた同級生・清水君の話からなっている。
しかし、今回の舞台は、上演期間が冬ということで、お盆の4日間以外の361日に焦点を当てて構成されている。原作の1話目と2話目を織り交ぜたストーリーとなっている。うえむらいわく、「いままで私が描かなかった部分も描いてくれているので、本編を補足してくれるようなサイドストーリー」という。
主軸となっているのが、清水君は灯(ともり)のことが大好きで片想い。この関係を壊したくなくて前に進めないでいる。でも、関係を壊していかないと前に進めない。清水君のせつない気持ちが詰まったストーリーとなっている。一方の灯は、正造が大好きで大好きでと、小説通り。
夏から冬に季節を変えたことで、「一番大きいのは正造がいないこと(笑)。映像で少し回想シーンとしてでてくるんですけど、そこしか出てこない。演出家の方も『いない正造をどう感じさせるか役者のみなさんの力にかかっている。一番難しいところ』と、おっしゃっていました」と、設定・視点が大きく変わっている。
さらに、オリジナルキャラクターとしてカオルが登場。しかも、朗読者の奥田彩香が演じるときは、『LinQ』の高木悠未演じるショーコちゃんの同級生だが、ゲスト出演(6日と8日の昼公演)するうえむらが演じるときは、ショーコちゃんが所属している吹奏楽部のOGとして登場するという。
原作者が自ら出演するということと、単純なWキャストではなく、設定が同級生と先輩と若干変わっているところなども、必見だ。
最後に見どころについて、「小説『灯籠』が舞台化されることになって、原作を読んだ人でも全く違う新しい『灯籠』という世界を楽しめる作品になっています。また、新しい人がどうやってこの作品を観るのかが私は楽しみな部分ではあります。小説と合わせて楽しんでいただけたらなぁと思います。また、役者の皆さんが本当に素晴らしいです。方言などの難しいハードルはたくさんあったと思うんですけど、それを乗り越えていまは完璧な『灯籠』になっていますので、ぜひ役者さんの演技を観に遊びに来ていただけたらうれしいです」と、原作者として訴えた。
個人的なオススメとして、「灯(ともり)と清水君の掛け合いがキュンキュンして、とてもいいです。せつないです!」と、女子目線で強調。さらに、「広島県でしか見られない盆灯籠が背景として飾られます。お墓のそばに立てるものなのに、カラフルで綺麗なんだとわかっていただけるんじゃないかと思います。特に、盆灯籠に灯(あかり)が灯(とも)るシーンもあるので、そこは綺麗です」と、郷土の風習もアピールした。
【カタオモイ.net】プロデュース公演『灯籠-少女と青年のひと夏の邂逅-』
日程:2015年2月5日(木)~2月8日(日)
2月5日(木)19:00
2月6日(金)14:00★/19:00
2月7日(土)14:00/19:00
2月8日(日)13:00★/17:00
※各日とも、開場は開演の30分前
(★回はうえむらちかがゲスト出演する回)
劇場:池袋シアターKASSAI
出演:飛鳥凛、井之脇海、高木悠未、奥田彩香。うえむらちか
チケット料金:当日4500円(全席指定・税込)
※未就学児の入場不可
公式HP(http://kata-omoi.net/tourou/)
レポート提供:(C)スペースクラフト
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2013年03月22日うえむらちか 広島の盆灯籠は絶対風化させたく無い文化
2012年06月24日
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