河内美里さん、星守紗凪さんらが出演する舞台『タタラの唄姫』が19日、東京・恵比寿のシアター・アルファ東京で開幕した。劇団飛行船が手掛ける完全オリジナル作品で、悪霊によって荒廃した20XX年の日本を舞台に、出演者たちが魂のこもった唄声と迫真の殺陣でドラマを繰り広げている。
物語の舞台は、封印されていた悪霊が呪術師の手により目覚め、人口が半減した20XX年の日本。古来の「タタラ」伝承をベースに、唄が魂となって刀剣に宿るという独自の世界観が描かれる。物語は、国防を運命付けられた少女たちが集う「桜花妖錬高等学校」に、琴音遥(河内さん)と出雲あずみ(星守さん)が入学するところから動き出す。
主役の一人、琴音遥役の河内さんは、物語の核となる役柄を真摯に演じている。遥とペアを組む出雲あずみ役の星守さんは、生徒の中で最も活発なムードメーカーという役どころ。彼女のエネルギッシュな演技が、ダークな世界観の中で物語の牽引役となっている。
本作は、“難役しかいない”と言えるほど、各キャストが演じる個性的なキャラクター造形も魅力だ。特に目を奪われたのは、西葉瑞希さん演じる「ちよ」。狂気と凶器を併せ持つサイコパスな役柄を鬼気迫る演技で体現し、振りかざすチェーンソーは、まるで血しぶきが飛びそうなほど舞台上に生々しい緊張感を生み出している。また、生徒たちの前に立ちはだかるラスボス「すず」役の山﨑悠稀さんは、感情の起伏を抑えた演技ながら、二つの人格を気配で演じ分けて表現。ときに静かに、ときに俊敏な動作が、底知れないキャラクターの恐ろしさを際立たせている。
企画・原作は、劇団飛行船。脚本・演出は、『戦国降臨GIRL』、『ヨルハ』、『トワツガイ』といった少女群像劇で定評のある松多壱岱さんが担当。情報量の多い物語を各チームに焦点を当てて順に展開。複雑な人物の過去や関係性が分かりやすく整理されており、観客はストレスなく物語の世界に引き込まれていく。
ステージの見どころは、血肉を感じさせるほどのリアルな殺陣と、「和ロック」を基調とした歌唱シーンの融合だ。「唄うように語り、語るように唄う」演出は、登場人物たちの感情の高まりを自然な形で歌へと繋げ、演劇とライブが一体となったような独特の高揚感を生み出す。その迫力は、神アニメの最終回を浴びているようだ。
さらに、物語は「驚愕の結末」を迎える。「劇場に2度足を運んだ時、あなたは真実を知る」というキャッチコピーが示す通り、繰り返し観劇することで新たな発見があるよう、伏線が巧みに張り巡らされており、今後の展開にも期待が高まる。終演後にはライブパートも用意されており、物語の余韻をさらに深める構成となっている。
公演は同劇場にて今月27日まで。実力派の女優陣が織りなす、重厚なダークアクションステージに注目が集まっている。
舞台『タタラの唄姫』
■ 日程
2025年7月19日(土)~27日(日)
■ 会場
シアター・アルファ東京
■ 出演
河内美里、星守紗凪、佐倉初、鶴見萌、あわつまい、梅原サエリ、倉知玲鳳、安藤千伽奈、西葉瑞希、山﨑悠稀、楠田亜衣奈、新田恵海
<アンサンブル>
今村望、赤城凛空、和泉柚那、磯村優花
<語り>
難波圭一
詳細は公式HPにて。https://hikosen.co.jp/tatarano_utahime/
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